【FOMC(2024年3月)】

3月9日のFOMCで、政策金利を5会合連続で据え置くこと(5.25~5.5%)を決定。

声明文では、政策金利の維持、24年の利下げ回数見通しの維持が示された。

 

FOMC声明】

今年の年末時点の政策金利見通しの中央値は前回同様4.6 %。

また、一部で修正が予想されていた、年内3回の利下げ見通しも維持した。

 

一方で、今年年末の実質GDP成長率の見通しを2.1%と、

前回の1.1%から大幅に引上げ、強い経済活動が続くとの認識を示した。

 

https://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/files/fomcprojtabl20240320.pdf

 

【Press Conference:パウエル議長の会見発言要旨】

  • 全体的にハト派寄りのコメント。
  • 消費者物価指数の上振れは季節性要因によるもので過度な警戒は不要。
  • 失業率が今後上昇するとの見方を示唆。
  • 年内利下げ開始が適切との姿勢を再表明。
  • 保有資産の圧縮ペース減速を比較的早く行う意向を示す。

 

※参照「Federal Reserve Live March 19, 2024」:

www.federalreserve.gov

 

パウエル議長の会見での予想以上に「ハト派」寄りの発言により、

安心感から金利低下、株高で反応した。

 

会見では、市場予想を上回った1月と2月のインフレ指標に懸念を示したものの、

季節性要因によるもので、過度な警戒は不要との見方を強調した。

 

量的引き締めのペース減速については、

「そう遠くない時期」に始まるとしたものの、

具体的な時期については明言しなかった。

 

 

政策金利見通し(ドットチャート)】

(出典:FRBのデータ(※)を当方で加工)

 

FOMCを受けた今後の投資スタンス】

2023年年末から来年初にかけて利下げ(とそれによる円高)を見込んでいたが、

想定した以上に米金利の高止まりが続きそう。

 

明確な政策変更になるまでは、

年始の投資方針に従い、保守的な運用を心掛けたい。

 

 

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kunco.hatenablog.jp

 

 

 

 

 

【株主優待】ライオン

ライオンからの株主優待(2名分)が届いた。
自社製品の詰合せ。

 

入っていたのは5点(×2名分)

1.システマハグキプラスハミガキ

2.キレイキレイ99.99%除菌ウェットシート(アルコールタイプ)

3.キレイキレイ薬用泡ハンドソープ

4.NANOX one PRO(衣料用洗剤)

5.ソフラン エアリス(パティオ)(柔軟仕上げ剤 )

 

 

 

 

普段使わないものも入っているけど、
値段が上がっている今、実用品がもらえるのはありがたい。

 

この時期に送られてくる優待は少ないから、
ことさらうれしい。

 

キリンからは優待の案内が届いた。
こちらは、ビールの詰合せ(2名分ともに1,000株未満)を注文予定。

届くのが楽しみ。

 

 

 

【雑感】小学生の金銭トラブル

愛知県の詐欺事件。

ヤフーニュース:同級生に「93万円だまされた」  “純金”の正体は水族館メダル 

名古屋市在住の小学生が金銭トラブル

 

news.yahoo.co.jp

 

小学生の事件とは思えない内容のニュース。

約100万円のタンス預金があり、それを子供が知っていたこと、
子供が学校のトイレなどでこっそり取引したなど、結構びっくりする内容。
加害者の親と学校の対応にも疑問しか浮かばない。

 

加害者の少年の親は、子供の金遣いとか気にならなかったかな。
謝罪しないのは、冤罪だと思っているからなのか。
など不思議なことが多すぎる。

 

別のニュースによると現状、3人(少年A、B、C)の加害者の親の対応は以下の通り。

Aの親は、謝罪も返金もなし。
Bの親は、謝罪はしたが、返金なし。
Cの親は謝罪し、返金。

 

それを聞いた妻が一言。
「算数の問題みたい」

 

算数問題としては面白いけど、現実の事件としては悩ましい。

 

お金の教育って難しい。
我が家では、世の中の平均値とともに、
年収や生活費、資産運用状況などを長男と話すことがある。


少しでも世の中の動き(経済、政治など)やお金の大切さを教えようとしてる。
(妻は財産の開示には賛成はしてない)

 

ちゃんと伝わらないと、外で思わぬ事件に巻き込まれるリスクもあるんだなと、
お金の教育の仕方について改めて考えさせられる事件だった。

 


(ニュース本文)
同級生に「93万円だまされた」  “純金”の正体は水族館メダル 名古屋市在住の小学生が金銭トラブル
3/4(月) 16:59配信


名古屋市内の小学生が「同級生に93万円だましとられた」と訴えていることが分かりました。「今後価値が上がる」と紹介されたという、コインや紙幣。純金だと信じて買ったメダルは水族館の記念メダルでした。

4日、中京テレビの記者が話を聞いたのは、一人の小学生のお父さん。

被害を訴える 小学生の父親:
「『お父さんに言わなきゃいけないことがある』って言い出して。(息子の)第一声が『40万円だまされた』だった。「他に(被害は)ないか」と聞いたら、総額100万円弱という話になった」

警察などによりますと、名古屋市内の小学校に通う現在小学6年生の男子児童が、おととし11月~去年2月にかけて計8回にわけ、同級生に対し、あわせて約93万円支払ったというのです。

100万近い金額で購入したというのが、記念メダルや外貨など。

被害を訴える父親によりますと、同級生3人からメダルを見せられ、「メダルは“純金製”。いま金のレートは1g9000円ぐらい。その価値が上がっていく一方だ」といわれたといいます。

そして、このメダルを36万円で購入したといいます。しかし、実際は名古屋港水族館で数百円で販売されている記念メダルだったのです。

製造するメーカーによると、素材も純金ではなくて、黄銅製で表面を金でメッキ加工したものだといいます。

被害を訴える 小学生の父親:
「(息子から話を聞いて) さすがに震えましたが、いろんな感情が折れ混ざって、震えまして」

さらに、珍しい紙幣だといわれカナダの10ドル札も購入。

取材した4日現在のレートで買うと、10ドルは約1200円ですが、その購入額は、なんと25万円!

父親によると、紙幣やメダルを売りつけられるようになったきっかけとみられているのが、男子児童が同級生に対し言った「100万円もっている」という言葉。

男子児童は、親戚にもらった祝い金やお年玉などを貯め、100万円以上を自宅で保管していたといいます。

同級生3人のうち一人の保護者は、「ことの大きさを知って、やってしまったことに深く親子一同反省している。被害にあわれた児童と親御さんには直接謝罪した。二度とないようお金に関する教育を今一度しっかりやっていきたい」と話しています。


また、児童が通う学校の校長は「お金含め、お菓子、スマホ、漫画を持ち込むことは校則で禁止されている。違反があった場合は指導している。警察の問い合わせには真摯に対応する」としています。


2月に父親が警察に相談。警察が、事実関係について、慎重に調べを進めています。

【資産運用】 外貨建て優先出資証券

  • 市場参加者の大半が悲観的で、投資対象が価値以上に売り込まれるとき(買い手がいない時)、投資対象のリスク自体が大幅に低くなっている可能性がある。
  • 自身のリスク許容度と商品特性を理解することで、中和可能なリスク(自分にとっては超低リスク)で高リターンを目指せるお宝投資先に出会えることがある。
  • 最も安全な買い場は、みんなが悲観にくれ、思い詰めているときである。
  • どんな市場も右肩上がりで行くわけではなく、必ず上下に変動しながら上がっていく。好況な時ほど、下落時の 「チャンス」を意識した投資を行うべきである。

 

 

FIRE達成に大きく貢献した2つの投資がある。

その1つが「外貨建ての優先出資証券」への投資がある。

※もう1つは「中国株投資」

 

kunco.hatenablog.jp

 

中国株への投資*1と異なり、

①ある程度の投資元本があったこと、②専門知識を活かした投資(※)だった。

ファイナンス、経済、商品性への理解

 

また、中国株への投資とは違った意味で、投資「タイミング」が良かった。

良い「買い場」は往々にして市場の暴落後に来る。

当該優先出資証券への投資もそんなタイミングでの投資だった。

 

 

2024年も株式市場が好調だ。米国だけでなく、日本株もすごい。

先週、2月22日(木)には日経平均が史上最高値を更新した。

実に約34年(1989年12月29日の3万8915円87銭)ぶりだ。

 

最高値更新が「通過点」なのか「バブル」なのかは別にして、

株価が割高圏内にあると個人的に思う。

 

ただ、難しいのは、「割高」でも「明日暴落する」わけではないこと。

市場が上を向いているなら、その波に乗るべきである。

 

それでも、いつか必ず「下落局面」は来る。

「山高ければ、谷深し。」

 

下落に「大きく」巻き込まれず、

下落局面で安全で高リターンを見込める投資候補に乗り換えられるよう、

当時を振り返り、半身で今の市場に挑みたい。

 

 

三菱UFJ銀行(BTMU)と三井住友銀行SMBC)の優先出資証券に投資したのは、2010年の初め。

 

【投資前提】

2008年10月にリーマン・ブラザーズ(米投資銀行)が経営破綻したのをきっかけに、

世界の市場に動揺が走り、深刻な金融危機に発展した。

 

これにより、海外市場における邦銀の資金調達が難しくなり、

通常(リーマンショック前)では考えられないような利息・配当を支払わなければ(特に)外貨での資金調達が難しい状況になっていた。

 

【投資商品】

  • (ユーロ建て)BTMU Preferred Capital 4 Limited (配当:年 217%( 2017年 7 月まで固定)、 2017 年 7 月以降は変動)
  • (ドル建て)SMFG PREF Capital USD (配当:年50%(2018 年 7 月まで固定)、2018 年 7 月以降は変動)

※購入時、両者ともに額面を下回る価格で取引されており、「運用利回り」は、10%以上だった。

 

【優先出資証券の商品特性】

  • 株式と債権の中間。発行体が破綻した際の弁済順位は株式とほぼ同等。
  • 最低売買単価が高い(額面で$100,000以上など)。
  • 必ずではないが、毎年決まった利息を支払う。
  • 償還期限はないが、発行体が望めば途中償還(元本返金)できる条項(※コールオプション)がついており、通常、その初回償還可能日に償還される*2ものと考えられている。

 

【投資根拠】

  • 比較的影響が少ないと言われていた邦銀でも資金調達には通常以上のプレミアムが求められていた。
  • 上記2銘柄は、それぞれ10%の「運用利回り」になる価額で販売されていた(アンダーパー(額面以下))。(ドル建:$1=50円まで円高が進んだとしても、償還日*3まで保有すれば元本割れしない水準)
  • 各国政府が金融機関の救済、金融緩和策を打ちだしている中、メガバンクが見捨てる可能性は極めて低いと考えた。

   →デフォルト(倒産)は原則しないと考えた。

  • 万が一、メガバンク(邦銀)がデフォルトするような事態に陥った場合、日本全体が大混乱に陥り、通貨(円)であろうが価値の毀損は避けられない。

   →どの資産クラスでもリスクが変わらないのであれば、10%以上のリターンを得られる優先出資証券に投資した方が得。

  • ドル円は当時$1=90前後であり、外貨建てで長期保有していれば為替レートだけで十分に儲かると考えていた(少なくとも、20年以内に$1=120円の円安時が複数回は来ると「当時」は想定していた。また、将来円大暴落(円が売られる)が起こると想定していた※。)

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【投資結果】

  • (ドル建て)BTMU Preferred Capital 4 Limitedは、償還前の2015年に売却。
  • SMFG Preferred Capital USD 3 Limited」は、満期保有(早期償還された2018年1月)。
  • 投資時に想定した通り、累積配当および売却・償還時における為替レートを加味すると2銘柄とも投資元本の2倍以上になった。

 

 

【学び】

  • 景況が悪化し、恐怖が優勢になると、これ以上損失がでる可能性が極めて低くなる水準にまで資産価額が下落することがある。
  • 最も安全なで高リターンが期待できる「買い場」は、市場が悲観にくれている時に起こる。
  • 市場は上下にサイクルを繰り返し、いつか必ず「買い場」が訪れる。高値圏内にいる今だからこそ、「買い場」に備えた投資をする必要がある。

 

 

 

*1:当時投資初心者だった

*2:早期償還されることが前提の商品(償還しないと、資金調達が難しいほど信用リスクが高まっているという市場へのメッセージになり得る)

*3:早期償還前提

【雑感】FIRE 勝ち組 / 負け組

株式市場が活況なためか、

FIRE関連の記事が増えている気がする。

 

そして、相も変わらず、偏りのある記事が多い。

(それでもつい読んでしまう…)

 

kunco.hatenablog.jp

 

 

 

「FIREなんて負け組ですよ」という記事(*1)を読んだ。

 

人生に「勝ち組」と「負け組」があり、

それを第3者が判断する。

うんざりする内容の記事だった。

(記事内では、FIREをした人が自分自身ことを「負け組」描写していたが)

 

 

早期退職の話をすると、

「いいなー、人生勝ち組で。」と言われることあれば、

「仕事しないで何してるの?暇じゃない?」

「自分には耐えられないわ。」と負け組扱い(?)されることもある。

 

 

記事のように私の人生が「評価(負け組扱い)」されているなと感じることはある。

(早期退職していることを大々的に伝えていないので、その機会は少ないけど)

 

同時に、友人がうらやんできた場合、

「いや、社会に適合できなかっただけだよ。

会社でバリバリ働いている〇〇(相手)が羨ましいよ。」

と自分を卑下してしまうことも多い。

 

建前でもあり、本音でもあるから悩ましい。

 

羨ましいなって思うような生活をしている知人でも、

周りに早期退職したことを伝えていない人もいる。

 

妬まれたりするかもしれないし、

大っぴらに「自由(FIRE)を謳歌している」ことを見せる人は少ないのではないのか。

 

レストランや商品のレビューと同様、

早期退職した後の生活を公開する人は少数派だ。

そんな特殊な方々の意見を全体の意見として扱うのはどうかと思う。

 

勝ち組か負け組かは他人が決めることでもないし、

どんな選択(働いても、辞めても)をしても「絶対安泰」であることはない。

 

だからこそ、自分で「選ぶ」ことが大事で、

選んだからこそ、その結果を「受けいれる」ことができると思う。

 

 

どんな選択をするにせよ、納得できる人生をおくりたい。

 

安易にFIREを薦めたり、否定する記事に辟易しながらも、

FIRE関連の記事読んでしまう悪癖をそろそろやめたい。

 

 

 

【参照記事】

「FIREなんて負け組ですよ」新NISA×好相場→2000万円早期退職をプロが検証

 

 

株や投資信託で資産を増やし、資産数千万円で会社を脱出する人たち。ミニマムな暮らしと、やりたいことの両立──理想的に思えるが、現実はどうか。AERA 2024年2月19日号より。

 

*  *  *

 

 2024年の株式市場は国内外ともに活況だ。そんな相場の波に乗り、資産を大きく増やした会社員投資家の間で再び「FIRE(Financial Independence,Retire Early=経済的自立と早期退職)宣言」が目立つ。

 

 FIREといえば1億円というイメージがあったが、ここ最近のSNSを見ると金額のハードルが下がっている。資産2千万円台で「3千万円の目標には少し早いですが、FIREします」という人も存在する。「理想は3千万円。2千万円台でも、まあOK」の雰囲気がある。

 

資産2千万~3千万円に対して年率平均5%程度の上昇を見込んでいる様子。必要に応じて、少しずつ引き出すことも考える。

 

■週2~3回好きな仕事

 資産は保有しながら週2~3回など、自分のペースで好きな仕事をする(やりたいことの実現)。会社員時代の収入をキープしたいという雰囲気はなく、起業して大金を稼ごうという鼻息の荒さも感じられない。

 

 2千万円という「早期退職時点の資産」は、今年から始まった新NISAの満枠1800万円に近い水準。新NISAが始まり相場がいいこともFIRE宣言の増加に影響しているかもしれない。新NISAでは利益の税金約20%が非課税。うまく使えば運用効率がアップする。

 

 ファイナンシャルプランナーの横田健一さんに実情を聞くと、「資産数千万円で勤務先を早期退職する人は、もともと生活にお金を使わない傾向が強い」という。いわゆる「ミニマムでシンプルな暮らし方」。

 

「実際に資産数千万円で会社を辞めた方(独身)の実例を挙げると、まず年間の食費は、外食も含めて10万円台前半でした」

 

 10万円は月ではなく「年」である、念のため。

 

「住居費(賃貸)は水道光熱費なども合わせて年間50万円台。逆算すると家賃3万~4万円の物件に住んでいました」

 

 当然ながら、東京の山手線の内側には住まない。

 

「いずれも年で、被服費4万円、交通費2万円、交際費1万円台、日用品9万円、医療費5万円台、通信費2万円台、社会保障費45万円、娯楽29万円、税金ゼロ。年間約170万円の支出です」

 

 

■高齢者無職世帯の仲間

 このケースは独身だが、それぞれの世帯の形に合った早期退職後の人生設計は、どう考えればいいか。ミニマムではない方向で、夫婦2人なら?

 

「まず出ていくお金、生活費から整理しましょう。総務省の家計調査(2022年)によれば、毎月の生活費が60代夫婦で約28万円、70代で約24万円、80代以上で約20万円でした。定年退職後の生活を前倒しにするわけですから、高齢者無職世帯の数字を参考にします。自由に少しは働くにしても、この層に早めの仲間入りをするわけなので」

 

 早期退職の年齢により、年金の金額が変わることにも注意。

 

「『ねんきんネット』で自分の年金額を試算してください」

 

 

小さな子どもがいる人は、子育て費用や学費もかかる。

 

 気になるのは「増やすお金」の部分。よく見かける、「年平均5%で増える見込み」というリターン予測は現実的か?

 

「全世界株式のインデックス投資信託を保有していると仮定すると、年換算で5%ずつ増える見通しは問題なさそうです。GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)は、外国株式の期待リターンを7.2%と推計しています。JPモルガンの超長期予測(24年版、円ベース)では世界株式5.2%という記載が見られます。ただ、預金のように『毎年決まって5%ずつ増える』わけではありません。引き出すときの相場次第で最終リターンは大きく変わります」

 

■20年後の残高検証

 そこで過去の相場データを使った検証を、ニッセイ基礎研究所主任研究員の前山裕亮さんに頼んだ。1989年に会社を辞めたとして、その時点の評価額が2千万円なら年120万円、3千万円なら年180万円を引き出し続ける。20年後の2009年に資産はいくら残っていたか? S&P500と全世界株式でそれぞれ計算。同じ要領で、90年引き出し開始、91年引き出し開始……と、直近で「03年開始・20年後は23年」まで、15パターンの検証結果が出た。

 

「一番よかったのは94年引き出し開始です。当初2千万円のS&P500は年120万円ずつ引き出し続けても20年後に8856万円、全世界株式は4297万円が残っていました」

 

 同じく94年から年180万円ずつ引き出し開始で当初3千万円のS&P500は20年後に1億3283万円、全世界株式は6445万円の残高。

 

「97年引き出し開始から雲行きが怪しくなります。当初2千万円のS&P500は20年後の17年に276万円、全世界株式は400万円。99年引き出し開始の場合、S&P500も全世界株式も17~19年間で20年より早めに資産が枯渇しています」

 

■暴落をまたぐと枯渇

 引き出し始めた前半~半ばの頃、リーマン・ショックに見舞われた場合は資産が20年持たず、ゼロになっていたわけだ。なお、預金から同様に引き出した場合は17年でゼロになる。こう書くと、「相場がいい年も悪い年も同じ金額を引き出すのはよくない。『残高の3~4%』など『率』で引き出す検証じゃないと」という反論も来そうだ。率で引き出す場合、運用資産数千万円では大幅下落の年が「続くと」キツい。労働を増やすか、さらなる節約が必要になる。

 

リーマン・ショックの際、S&P500は1年4カ月下がり続け、元の水準に戻るまで5年5カ月。全世界株式は6年8カ月かかりました。暴落時に備えるなら、リスク資産以外に5年分の生活費を預金などで持っておきましょう」(横田さん)

 

 実際に早期退職したばかりの人にも話を聞きたい。23年7月、東証プライム上場のIT関連企業を40代で早期退職、「FIRE宣言」をした九条さんに取材した。明言を避けたが、億単位の資産で会社を辞めた様子。現在はフリーとして仕事を受ける日もあれば、ギャラ無しでイベントの手伝いをする日もある。

 

■年間生活費の20倍

 九条さんは30代前半で資産2千万円に到達した。「その頃は仕事が楽しく、忙しく、早期退職なんて1ミリも考えなかった」と当時を振り返る。

 

「40代の早期退職に必要なお金は『自分の年間生活費の20倍』と考えていました。年300万円で暮らせるなら6千万円。500万円で暮らせるなら1億円、という感じです」

 

 本稿前半で横田さんが例に挙げた、年170万円で暮らす人なら3400万円ということに。

 

「ここ5~6年は、何に投資しても上がる相場だったので、下げ続けるときの怖さを本当の意味でわかっていない人がいるかもしれません。ちなみに20年のコロナショックなんて、暴落のうちに入りません(笑)」

 

 FIREに憧れる人がいる風潮を、FIREした本人(九条さん)はどう感じるか。

 

「うーん。FIREなんてね、負け組なんですよ」

 

 無理にへりくだっているわけでなく、自然な様子でそう言う。

 

「社会や組織に属すれば、給料や今年の売り上げ、利益……何かしら競争があります。早期退職は、そういう勝ち負けの土俵から降りることなんです。もう、何も気にしなくていい。数字もノルマもない。自由。そこが根幹だと思います。働いている人より偉くもないし、必ずしも憧れるようなものでもない」

 

 FIREを冷ややかに見る人がいるのは、ある意味負け組なのに、必要以上に「すごいこと」として語る人がいるからかも。

 

 資産数千万円で早期退職して楽しく暮らしつつ、自由に働く(働かない時があってもいい)ことはサイドFIREと呼ぶらしい。言葉は格好いいが、一般的な言葉で置き換えると「セミリタイア」「脱サラして週2~3回は働いている人、または無職(所得がない)」となる。

 

「ただ、資産数千万円で会社を辞めることを否定はしません。辞めてみてもいいと思いますよ。僕自身、束縛から抜けたときの自由な気持ちは最高でした」

 

(1級FP技能士・古田拓也、編集部・中島晶子)

 

AERA 2024年2月19日号

 

 

【資産運用】予実分析(2024年度/2023年度)

【2024年度】(有価証券運用利回: 実現利益ベース)

 

予算(括弧内は昨年度): 2.32% (2.54%)

昨年度実績: 4.58% (達成率: +80.33%)

※昨年度の実績詳細に関しては、以下「【昨年度(2023年)】実績分析 (有価証券運用利回)」参照

 

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2024年度目標:

  • 投資目標(①配当・分配金からのキャッシュ・フロー確保および②保有資産の時価総額の最大化)を達成すべく、状況に合わせポートフォリオを組み替える。
  • 2024年は、米国高金利による景気後退の顕在化リスクに加え、世界的な選挙イヤーでもあり*1、不確定要素が多いため、昨年以上に保守的な運用を心掛けたい。
  • 現在の米金利高およびその将来的な利下げを見越した、ディフェンシブ銘柄や分散効果の高いETF投資信託)を投資の主軸にする。また、株式(個別)に関しては、基本、悲観シナリオをベースに運用する。
  • 世界全体が悲観に陥った際に「攻めの投資」ができるよう、キャッシュを常に厚めに持つよう心掛ける。
  • 投資目的に合っているものは、ビジネスモデルとその見通しをよく吟味して積極的に投資するようにする。(長期保有前提の投資については、短・中期的に含み損が出ることを覚悟して投資)

 

 

 

  • 現金比率:

引き続き市場悪化に備え、現金を積み増す。米国債および高格付けの短期社債(3年未満)は現金と同等の扱いにし、MMF(現金)+米国債/社債で20%~25%維持することを目指す(期初:13.6%(現金)、5.0%(米国債)+2.4%(社債)、20.9%(合計))。

 

  • 債券:

2023年までに十分に債券は購入したため、大きく米金利が下がった場合には、長期米国債の売却を検討。基本的には、あまり追加とうしする予定はないが、米国利下げ決定前までは、金利動向によっては、①米ドル建て投資適格社債ETF(利回り4.5%程度で検討)、②キャピタルゲインを狙いで年限長めの米国債ETF購入を検討。

 

  • 株式:

日本株) ①株価下落時に高配当ディフェンシブ銘柄を中心に投資。ただし、投資資金を追加投入することなく、各証券会社口座内の資金(配当金含む)の範囲に限る。②特定銘柄(商社株、メドピア、M&Aキャピタル)については、株価と業績を見ながら短期売買での譲渡益獲得を目指す。③引き続きメイン証券(2社)の営業との関係を強化し(お付き合いでの投信購入含む)、IPO割当率を上げてもらう(昨年実績:応募11件中割当は、4件。)。ただし、昨年10月からのIPOルール変更による影響を見極めるためにも今年はIPOへの応募額を少し小さくする予定。

 

(米国株) ①追加資金を投入することなく、既に保有するドルおよび配当金・売却金(累積額)のみでの投資に限定。②投資対象銘柄は、新規は、高配当ディフェンシブ銘柄のみ。既存投資銘柄は、本当に割安で業績に問題ないと思ったもののみ購入を検討。③米国利下げ開始時にS&P(インデックス)購入検討(状況によってはNASDAQも)、④個別銘柄で、「McCormick & Company Inc(MKC)」に関しては、上記①の予算に関係なく、株価が下がったら買増していきたい。

 

これまで通りグローバルREITを積立購入。毎月の購入額は昨年よりも減額予定(月平均 30万円 → 10万円程度に)。ただし、米国金利と景況感により柔軟に追加投資も検討。仮にREIT市場が大きく崩れたとしても、長期的な買い場であると考えるため、追加購入はあっても売却はしない。日本のREITは、積み立て分(iDeCo)を除き、原則増やさない。価格変動、運用利回り、(セクターごとの)業績に応じて、既に保有して いるREIT間でスイッチするのみにする。

 

インド株式指数に連動するETF(1678: JP)の積立投資(手動)を継続。ただし、1年を通じ、受領配当金およびFXでの実現利益の範囲内での投資に抑える。

 

  • FX:

2022年の失敗分(2023年年初にも繰越ポジション有)を2023年年末に全て清算。ルールを守れば絶対に勝てると思っていたにも関わらず(今もそう信じている)、再三にわたり当該ルールを逸脱し、損失を膨らませた上、2023年末まで諦められなかった。結果、2023年も傷を広げただけだった。

2024年は、原則を「絶対」に守り、追加資金を投入しない。高い授業料(2年間(2022/23年)の実現損失300万円弱。これまでの累積では「+」)だったので、今度こそ「学んだ」ことを証明したい。

今年は、FXの運用成績もKPIに戻し、自分のルールに忠実に従い取引をする(利益を出したら、その大半をETF(インド)を購入にまわし、FXへのエクスポージャーを過度に増やさない)。昨年はKPIから外したことで、自分に「より甘くなる」理由を作ってしまったと思う。とにかく、ルールを守る。今年はこれに尽きる。

 

 

【昨年度(2023年)】実績分析 (有価証券運用利回)

 

予算: 2.54% 

実績: 4.58% (+80.33%)

 

期初目標(2023年)と結果:

- ①配当金・分配金の受領額および②保有金融資産の時価総額は、前年同期比それぞれ+26.6%および+18.2%増加。

- 価格変動リスクの低い債券、(分散効果の高い)投資信託ETFへの投資比率をを増やしたにもかかわらず、資産価額の上昇率は想定以上の出来だった。

- 一方、個別株式の売却(エクスポージャー減少)が予定通り進まなかった。

- 今後来るであろう下落局面に備え、2024年は「現金比率」の向上に特に注力していきたい。

 

 

 

 

 

*1:今年は世界人口の半数以上が投票する「選挙の年」(台湾から始まって、インドネシア、インド、ロシア、メキシコ、韓国、アメリカなど)

【資産運用】2023年実績分析

ポートフォリオ時価総額年初来推移】

  • 主要ベンチマーク(インデックス※*1)のパフォーマンスを下回るも、年初来+23.00%と絶対値としてはまずまずの成績。
  • パフォーマンスが劣った主な要因は、①不稼働キャッシュの存在(待機資金維持のため)と②年初に設定した投資戦略ミス(※*2)。

 

【配当および不労所得の推移】

  • 実現利益は、前年同期比ベースでおおむね同水準で着地。
  • 米国金利高により、一部の投資信託(優先出資証券)の分配金が減少したが、①グローバルREIT(毎月分配型)の買増し、②(配当金および譲渡益の)高配当銘柄への再投資により、総受領配当金額は増加(前年比+26.6%)。
  • 当初の目標であった、配当(分配金含む)のみで「毎月税引き後20万円以上」のほぼ達成 (月平均は34.7万円*3)。
  • 譲渡益を含む実現利益は、前年同期比+5%。良いIPOを割り当ててもらえてため、前年以上の実現利益をあげることができた。
  • 賃貸収入込みで、税引き後利益1,000万円超の不労所得を達成。

 

【地域別】

※()内は、前年同期比

日本: 41.3% (△0.2%)

米国: 44.1% (△2.6%)

オーストラリア: 6.7% (+0.0%)

中国: 1.2% (△0.1%)

インド: 0.7% (+0.3%)

その他: 6.1% (+2.6%)

  

【変動要因】 ()内の数値は、2023年年度末比

日本および米国((日)△0.2%、(米)△2.6%):

年初の投資方針に従い株式へのエクスポージャーを減らすよう心掛けた。結果、株式比率の多い日本と米国が他地域対比で減少。一方、時価ベースでは、日本が+16.86%、米国が+11.01%上昇。米金利高により、米ドル建ての債券および優先出資証券が軟調に推移したため、米国向けが相対的に大きく減少した(日本向けは、株式が中心であるのに対し、米国向けの30%強が債券や優先出資証)。

 

オーストラリア:

ほぼ変わらず。配当金受領による増加のみ。年間を通して売買無し。豪ドル高により、時価ベースでは、+17.8%と上昇したものの、ポートフォリオ全体の時価総額も上昇したため、エクスポージャー比率にほぼ変化はなかった。

 

中国:

微減(△0.1%)。売買無。配当の受け取りのみ。時価ベースでは増加(+8.85%)。年初の予定通り中国への投資は基本ストップ。2024年も購入予定なし。

 

インド:

微増(+0.4%)。時価ベースでは倍増(+126%)。期初の目標に従い、ワールド・リート・オープン(毎月決算型のグローバルREIT)からの分配金でETFを毎月積立購入。当該ETFのパフォーマンスが良かったこと、および、投資元本の追加投入によりエクスポージャーが微増。今後も同様のペースで積立てていく予定。最終的には全体の5%を目指す。

 

その他(グローバル):

大幅増(+2.6%)。期初の目標に従い、リスク分散の観点より、個別株よりグローバルに分散投資できる投資信託REIT含む)へのエクスポージャーを増やした。特に、IPOからの利益の大半を高配当投資信託の「世界高配当株セレクト(目標払出し型)」に再投資したため、投資元本が大きく増加した。

 

【商品別】

 

※()内は、2022年年度末比

株式: 49.2% (+1.0%)

REIT: 11.0% (+0.2%)

債券: 2.4% (+1.3%)  

コモディティ: 0.6% (+0.0%)

ETF: 1.4% (+0.5%)

投資信託: 15.8% (△0.6%)

国債(米国): 5.0% (+2.6%)

MMF(現金): 13.6% (△5.5%)

 

 【変動要因】

総論:

年初の投資方針に従い、株式の比率を下げ、他のアセットクラスへの投資比重を高めるよう試み一部株式を売却したが、株式価格の上昇により、ポートフォリオにおける各資産クラスの比率変動は全体的に小さかく終わった。

 

株式:

微増(+1.0%)。時価ベースでは、20.1%上昇。下期においても、引き続き悲観シナリオを想定し、個別株式の一部を売却し、投資信託およびETFに一部振り分けることで、株式へのエクスポージャー(比率)を増やさないように努める一方、安定的に高配当が見込める株式、もしくはリスク高めでも高成長が期待される企業の株式購入を心掛けた。年後半では、損益通算を利用し、含み損だが長期保有予定の株式を売却・購入することで、税金還付を受けるとともに、取得単価を切り下げた。

 

投資信託 / ETF

投資信託が微減(△0.6%)、ETFは、微増(+0.5%)。ともに変動は小さかったが、投資信託およびETFへの追加投資(※)によりは時価ベースで、2022年末よりそれぞれ16.2%および47.0%増加した。リスク分散の観点から、投資信託ETFへの投資比重を上げるよう努めた。

 

 REIT

微増(+0.2%)。期初目標に従い、米国金利上昇および世界経済悪化懸念による一時的な価格の下落を覚悟した上で積極的に「米REIT」および「グローバルREIT」積み増した(長期的観点では買い場だと考えた)。一方、リスク軽減のため、J-REITへのエクスポージャーは減らした(人口動態および災害リスク等を鑑み)。想定通りREIT軟調に推移したため、追加投資元本に対し、エクスポージャー比率は微増にとどまった(時価ベースでは、2022年年末より+19.8%)。

 

ドル建て債券・国債

大幅増加(+2.6%)、時価ベースでは+148.48%増加。年前半は米金利のピークを見越し国債を買増し。2023年年度後半は、想定外に金利が高止まりしたものの、年後末に向けやや金利がさがったことにより、保有債券の時価が上昇した。

 

 

- コモディティ: 

追加投資はゼロだったものの、円ベースの金価格の上昇により時価ベースでは、25%増加した。

 

- 現金 / MMF

減少(△5.5%)。実質ベースでは、大幅に減少(△41.4%)。年初設定の目標(MMF(現金)+米国債/社債で20%~25%)に対し、20.9%(2022年年度末より△1.6%)。減少の主因は、債券への追加投資(金利上昇により価額が下落)。また、株式に関しては、現金確保を試みるものの、予定以上に追加購入していた模様。

 

 

 

【2023年取引額】

円建て株式: (購入):  6,426,623円  / (売却)  6,980,700円 

円建て投資信託(購入):  4,970,737円 / (売却)  1,409,444円

円建て短期売買(1年以内)による利益:  2,184,721円  

ドル建て資産: (購入)  US$ 27,139.84  / (売却)  US$ 0.00   

 

【課題】

2023年の目標であった株式へのエクスポージャーの削減は計画通りにいかなかった。2024年も、悲観シナリオが現実化した際のポートフォリオへの影響を十分に留意しつつ、株式へのエクスポージャーを原則減らすように心掛ける。一方で、下落時は、長期的観点で買い場である可能性もあるため、リスクの属性を見極めながら、機動的にポートフォリオを組み替えられるようにする。2024年は世界的に選挙イヤーで、地政学リスクも高まっている難しい年だということを忘れず、今まで以上に投資ルールの厳守を心掛ける必要がある。

 

 

*1:ベンチマーク: 資産運用の実績を評価するための基準。通常、株価指数や債券指数などの「インデックス」が使われる。

*2:(米金利高およびその将来的な利下げを見越し)株式については、悲観シナリオをベースにした運用(株高の恩恵が限定的)

*3:2023年1月~3月の平均:18.8万円 (来期は全月23万を上回る見込み)