【FOMC(2023年6月)と債券投資】
- 米連邦準備制度理事会(FRB)が政策金利据え置きの決定した一方で、年内あと2回の追加利上げの可能性を示唆。
- パウエル議長の会見でのタカ派発言により、「利上げフェーズの終了」への期待が後退。
- 23年年末を目途に日米金利差縮小による円高を想定していたが、当初期待していたドル建て債券の償還時における税効果が得られない蓋然性が高まった。
- いつかは利下げに転じるであろうことを鑑み、引き続き米国債券への投資を継続していきたいと考える。
6月の米連邦公開市場委員会(FOMC)では、
昨年より10会合連続で行われた利上げの停止が決まった。
※政策金利目標を5~5.25%(全会一致)
市場の予想通り政策金利が据え置かれた一方、
FOMC議事録での政策金利の見通しの中央値では、今年末の水準を5.6%とし、
政策金利見通しが年内0.25%の利上げ2回を織り込む水準に切り上がった。
昨年米ドル建て債券の購入を始めた際には、
今年の年末から来年初にかけての利下げ(とそれによる円高)を見込んでいた。
「米金利下落 →(日米金利差の縮小による)円高」で、
税金還付を含めた債券からの償還益の拡大を狙っていたが、
米金利が高止まりの長期化により、
当初見込んでいた「追加的リターン(為替差損による節税効果)」が発生する前に購入した債券の一部が償還される可能性が高まってきた。
一方、金利高止まりが長期化しても、いずれ利下げになるはずなので、
次回以降のFOMCの結果と利回りを見ながら短期のドル建て債券を追加購入し、
再度「追加的リターン(為替差損による節税効果)」を狙っていきたいと思う。
(償還により戻ってきたドルについても再投資予定)
以下は、今回のFOMC(2023年6月14日)をうけ、
FRBが発表した米国経済および金利見通し。
【見通しおよびパウエル議長の会見から読み取れること】
- 2023年3月予想から、実質GDPとPCEコアが上方修正され、失業率が引き下げられた。
→ FRBは、強い雇用および経済をベースにしたインフレの粘着性を警戒。 - 23年末の政策金利(FF金利)が0.5%上方修正され、5.6%に。
→ PCEコア(インフレ)を0.3%上方修正したので、
「テイラー原理」に従って0.3%以上である0.5%引き上げたものと思料。
※テイラー原理:中央銀行が誘導する政策金利の適正値はインフレ率以上必要。1%のインフレーションの増大には、1%以上の名目金利が上昇するように中央銀行は政策金利を動かすべきだとする原理。
- パウエル議長の会見での発言:
①6月の利上げ見送りを「スキップ」と呼ぶべきではない(今後「利上げなし」の可能性も示唆?)。
②本日の決定は、この会合についてのみ行われたもの。次回の会合で何が起こるかを含めて今後は何も決定していない。
③利下げは2年ほど先になる可能性がある
- 政策金利見通し(ドットチャート):
①今年年末の政策金利中央値は5.63%(前回3月時点から0.5ポイント引き上げ)
②利上げの回数としては残り2回という数字を示唆。
③FOMC参加者の過半数(18人中の12人)が5.63%の中央値ないしこれより上の水準を予想。
【ご参考:①ドット・チャート、②米国債利回り比較】
①ドットチャート
②米国債利回り比較