【まとめ】
・情報の真偽も大事だが、情報発信者の立ち位置により真実は異なる。
・発言者(各国)の思惑があり、発言背景についてもよく考えることが重要。
・望まない未来を予想したとしても、それに備える(利用する)必要がある。
先日中国人の友人(日本に帰化してる)と食事をした際、
ウクライナ情勢の報道のされ方について話をした。
彼曰く、日本の報道は偏りすぎている。
意図的にロシアや中国に否定的で誤った情報を流している。
(毎朝のワイドショーに辟易している)
中国での報道内容と違いすぎると憤っていた。
正直、私のイメージでは中国の方が情報統制されており、
日本以上に偏った(扇動的な)情報が流れているのでは?と思っている。
その際は、「ソースが何であれ、何が真実かは判断できないよね。」と、
報道内容(※)ではなく、
メディアからの情報の受け取り方についての議論した。
※情報操作について議論すると喧嘩になりそうなので(笑)
そんな中、
楽天の加藤氏のウクライナ情勢に対する中国の見方についてのレポートを読んだ。
(レポート:(中国は戦争を終わらせたいのか? | トウシル 楽天証券の投資情報メディア (rakuten-sec.net))
興味深かったのは、
中国(政府)の立ち位置およびウクライナ情勢への見方(※下記参照)だった。
主張の根拠も含め非常に論理的に書かれており、
自分の理解が間違っていた可能性があると思わされる内容だった。
要約すると、中国は、欧州(特にフランス)主導による早期停戦を望んでおり、戦争拡大を望んでいるのはアメリカであると考えている。
私にはとても新鮮な見解だった。
これが正しいとしたら、今後の見通しについても再考する必要がある。
各国(特に政府)の発信する情報の真偽には当然注意を払う必要があるが、
真偽以前に発信者の立ち位置(前提)を理解することの重要さを再認識した。
米国が戦争の長期化を望んでいるなら、
それが実現する蓋然性はそれなりに高いと思う。
投資配分を今一度見直し、
米国資産(米国債やディフェンシブ銘柄)への配分を更に高めることになりそうだ。
望まぬ未来になる可能性に賭ける(投資する)のは嫌だけど、
資産を守る(増やす)ためには避けて通れない。
(もちろん望んではいないが)明るい日本経済を見通せないゆえに、
外貨や外国資産への投資比率を上げなければとの思いが一層強くなった。
願わくばこの予想が(資産価値をできるだけ毀損せず)外れてほしい。
※ご参考:加藤氏レポートより一部抜粋し、当方で加工:
- 中国(政府)は、「米国は、リスクとコストはウクライナやエネルギーでロシアに大きく依存する欧州諸国に払わせ、これらの国家がロシアから離れる過程で自国の軍事、エネルギー産業がもうかるように仕向け、結果的に、ロシアのユーラシアにおける国力や影響力を弱体化させようとしている。」と思っている。
- ロシアの弱体化は、最大の脅威である中国を封じ込めるのにも有利に働く。ロシア弱体化戦略は対中封じ込め戦略の一環で、米国こそが停戦合意の邪魔をしていると中国は考えている。
- 「中国はウクライナ戦争が長引いてほしいのではないか(※)」という説に対しては、中国はできるだけ早い停戦を望んでいると反論。
※欧州や米国が欧州のウクライナ戦争で疲弊することで、それと距離を置く中国は国力を増強させ、かつ米国が欧州で手をこまねいている間にアジアでの影響力を拡大し、あわよくば台湾統一に向けて行動を取れるから、
- 早期停戦を望む理由は、ウクライナ戦争により中国が享受するメリットよりも不確定要素が強いため。第20回党大会で3期目突入をもくろむ習主席にとって、ロシアの失敗は自身の責任問題にも発展しかねないリスクである。
- 中国は戦争勃発当初から一貫して「一方的な制裁には反対。制裁は問題解決につながらない」という立場を堅持している一方、EU(欧州連合)、特にフランスとドイツとの連携と対話に力を入れている。
- 中国は、米国に対してネガティブキャンペーンをはるのに対し、人権問題により頓挫している中国・EU投資協定を推進するためにも、欧州(特にフランスとドイツ)には協働を提案している。
- 中国は、「ウクライナ危機とはそもそも欧州の安全保障上の問題なのだ、米国は関係ない、部外者が関わるとろくなことはない。」という既成事実を作りあげたい。