【資産運用】株の売るタイミング

【まとめ】

  1. 株式の売却ルールは購入時に決めておく
  2. 売却ルールは、投資対象ごとに異なっても良い
  3. 決めたルールを守る
    (ルール作成時の前提に変更がないかモニターする必要あり)。

 

先日、「株っていつ売ればよいの?」と友人に聞かれた。

 

株も含め、投資における売り時の判断は難しい。
その人の投資スタイルにもよるため、正解はないとも言える。

 

投資の理想は、「最安値(底値)で買って、最高値(天井)で売る」こと。
ただ、どこが底値で、どこが天井かわかる人などいない。

 

有名な株式相場格言、「頭と尻尾はくれてやれ」が示唆している通り、
わからない底値や天井を狙ったことで、買い逃がし、売り逃しになる可能性がある。
(私はよくそうなる。)

 

では、どうしたらよいのか。

 

一般的に推奨されているのは、資産の購入前に売却基準やルールを決めておくこと。
どのくらい上がったら売るのか、どのくらい下がったら損切りをするのか。
購入前にあらかじめ決めておくべきだということだ。

 

投資の格言に「三割高下に向かえ(さんわりこうげにむかえ)」というものもある。
購入時の株価から30%上昇(もしくは下落)したら、必ず売ると決めておくことで、
「より多く稼ぎたい」、「損失はだしたくない」
という欲求に振り回されないようにするというものである。

 

私の投資のメンターの一人である叔父はこの方法に忠実に従うことで、
小金持ちになっていた。

 

自身の失敗例と照らし合わせても事前に基準を決めることは理にかなっている。
ただ、投資先全てに同様の基準(例えば、3割高下)を当てはめる必要はない。
購入資産の購入目的ごとに異なる基準があるべきだとも思う。

 

先日友人と飲んだ際、ロレックスの価格動向の話になった。

 

ロレックスで最も人気が高いデイトナ(ステンレス)。
友人と私は、運がよくほぼ同じタイミング(2021年)で購入できた。
そのデイトナを友人は購入数か月後(2021年年末)に売却した。
一方、私は今でも保有している。

 

輸入並行店では、定価約150万のデイトナが2021年に400万円を超え、
2022年2月には700万円台まで上昇、
2022年12月には下落し、今は約450万円で販売されている。

 

※出典:ロレックス専門店 クォーク銀座888店 (2022年12月15日)

 

2022年2月にデイトナを売却していれば大儲け出来たわけだが、
友人と私は損をしたのだろうか。

 

友人も私も天井で売れていないことを鑑みると、
双方損をしているようにみえるが、
個人的には2人とも全く損をしていないと思っている。

 

そう思うのは購入目的が異なるからだ。
私は、「目的が達成されている」=「購入(売却)して正解」であると思う。

 

友人は、デイトナをつけたかった。
短い期間でもデイトナ保有し十分に楽しんだ。
しかも売却して金銭的な利益(120万円)まで得られた。
大儲けである。

 

一方私の場合、
定期的にオーバーホール(検査・修理)すれば次世代まで使うことができる。
資産価値があり、定価より高く売れる可能性が高いので子供たちに残したい。
満足して保有している限り、損はしていない。
(購入価格より高い価格で取引されているのを見るのは気分が良い(笑))

 

2人に共通するのは、購入前に決めた基準に従い取引し、
当初求めていたリターンをともに満たせていることだ。

 

閑話休題

常に最高値で売るのが理想だが、それはほぼ不可能なので、
購入前に売却ルールも決めることは有効な手段だと思う。

 

私の場合、全ての投資に一律のルールを適応するのではなく、
それぞれの投資目的に合わせ、銘柄ごとに異なる基準を定めている。
以下は私が採用している取引基準の決め方である。

 

資産の投資目的に合わせ、異なる売却基準を決める。
投資目的は、①資産価値の最大化と②キャッシュ・フロー(生活費)の確保に大別できる。

 

①に関しては、売買を重ね、利益を積み上げることが求められる。
※主に、サテライト投資(短期売買用)の投資先が対象

 

資産に付随するリスクや資産に求める見返り(期待リターン)は資産ごとに異なる。
従って、一律に「30%の変動で売却。」というような基準は設けず、
銘柄(購入資産)ごとに大枠の取引基準を決めている。

 

例えば、時価総額の大きく、比較的価格変動が少ないと考える銘柄と、
将来性に賭け、株価が10倍になることを期待する銘柄では投資目的が異なる。

 

私の場合、「〇%上昇した場合は売却」というように、
(前提が変わらない限り)損切をしない前提で購入していることが多いようだ。
※事業内容(業績・業績見込み)と継続的な高配当を背景に

 

というのも、短期売買で利益を上下れない場合でも、
長期で保有したい銘柄を購入するようにしているためだ。

 

ただ、これが正しいのかどうかはよくわからない。
過去の取引(および塩漬け銘柄)記録を検証したが、
優劣を明確に判断することはできなかった。
ただ、感情(ストレス)の観点から自分にはあっているとは思う。

 

一方、②は、長期保有目的の資産(コア投資)であり、
資産価格が変動しても、
当該資産から得られるキャッシュ・フローに影響がなければ売買の必要はない。

 

「〇%価格が動いたら売却」というような基準ではなく、
 投資の前提が変わった時が売却のタイミングになる。

 

これは、①、②を問わず、すべての投資先に共通し守るべきルールでもある。
想定していた投資ストーリーが変わったら(※)売却の検討するようにしている。
※ビジネス環境の変化、政策変更、戦争、災害など不測の事態の発生

 

遵守すべきルール(基準)は異なろうとも、
決めたことを粛々と進める胆力が投資には求められていると考える。

 

 

 

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