【資産運用】FOMC(12月)と債券投資

  • 米連邦準備制度理事会FRB)が予想通り利上げ幅の縮小(+50bp)を決定するも、政策金利の見通しを引き上げた(2023年の予想中央値4.625%から5.125%に)
  • 23年末のドットチャートは、ほぼ5.1%に固まっていることから、FRBは来年の利下げを見込んでいないと思われる。一方で、24年はバラつきがあるものの、多くのメンバーが利下げを見込んでいる。
  • 現在の金利は既にターミナルレート付近にあり、来年以降は利下げによる金利差縮小を見越した円高になることを想定。
  • 金利上昇により債券投資に妙味がでたため、ウエストパック銀行のドル建て債券を購入した(償還時の税効果も見込みで)。

 

以下は、今回のFOMC(2022年12月13日、14日)をうけ、

FRBが発表した米国経済および金利見通し。

※URL: https://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/files/fomcprojtabl20221214.pdf

 

【上記見通しから読み取れること】

アメリカの潜在成長率(長期見通し)は、1.8%であるのに対し、2022年および2023年のGDP成長率はかなり低く見積もられている。

 →景気を悪化させても利上げを継続するというFRBの強いコミットメントが見える。

・9月時点の見通しと比較し、FF金利の利上げ幅が上昇。

FRBの思惑通りに進む場合、2025年にはインフレ率が2.1%まで下がり、インフレが落ち着く。

 →9月時点より24年までのインフレ率が高くなっていることから、FRBはインフレがより長く続くとみていることがわかる。

・上記シナリオ(景気悪化とインフレ鎮静)に基づき2025年には3.1%までFF金利を引き下げる。

 →24年より利下げする見通しを示している。

 

【投資の実施】

FRBの想定通りに進んだ場合、FRBは2024年に利下げを行う。

  →すでに今想定されるターミナルレートに近い金利水準になった。

・現在の円安ドル高の主な要因は、米国金利の上昇によるものだと考えているため、

 将来金利が下落した際には、円高ドル安方向に進むと考えている。

 →来年以降利下げを見越し、円高ドル安に転換するタイミングがくる可能性あり。今こそ短期債に投資するタイミングと考える(為替差損による節税効果)

 

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・上記を踏まえ、米国債の購入しようとしたが、証券担当者と話し、より利回りの高いウエストパック銀行のドル建て債券を購入した。

(馴染みのある発行体で、短期間であれば信用リスクをとっても問題ないと考えた)

・ウエストパック銀行に加え、来年1月FOMC後に米国債等債券を追加で購入する予定。

・今回購入した債券の詳細は以下の通り。$1=137.87のレートで購入したため、償還時に想定通りに円高に進んだ場合、4.4%以上のリターンを得ることができる。

 



【ご参考】

①ドット・チャート

※URL: https://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/files/fomcprojtabl20221214.pdf

米国債利回り比較

出典:ロイター

 

【資産運用】株の売るタイミング

【まとめ】

  1. 株式の売却ルールは購入時に決めておく
  2. 売却ルールは、投資対象ごとに異なっても良い
  3. 決めたルールを守る
    (ルール作成時の前提に変更がないかモニターする必要あり)。

 

先日、「株っていつ売ればよいの?」と友人に聞かれた。

 

株も含め、投資における売り時の判断は難しい。
その人の投資スタイルにもよるため、正解はないとも言える。

 

投資の理想は、「最安値(底値)で買って、最高値(天井)で売る」こと。
ただ、どこが底値で、どこが天井かわかる人などいない。

 

有名な株式相場格言、「頭と尻尾はくれてやれ」が示唆している通り、
わからない底値や天井を狙ったことで、買い逃がし、売り逃しになる可能性がある。
(私はよくそうなる。)

 

では、どうしたらよいのか。

 

一般的に推奨されているのは、資産の購入前に売却基準やルールを決めておくこと。
どのくらい上がったら売るのか、どのくらい下がったら損切りをするのか。
購入前にあらかじめ決めておくべきだということだ。

 

投資の格言に「三割高下に向かえ(さんわりこうげにむかえ)」というものもある。
購入時の株価から30%上昇(もしくは下落)したら、必ず売ると決めておくことで、
「より多く稼ぎたい」、「損失はだしたくない」
という欲求に振り回されないようにするというものである。

 

私の投資のメンターの一人である叔父はこの方法に忠実に従うことで、
小金持ちになっていた。

 

自身の失敗例と照らし合わせても事前に基準を決めることは理にかなっている。
ただ、投資先全てに同様の基準(例えば、3割高下)を当てはめる必要はない。
購入資産の購入目的ごとに異なる基準があるべきだとも思う。

 

先日友人と飲んだ際、ロレックスの価格動向の話になった。

 

ロレックスで最も人気が高いデイトナ(ステンレス)。
友人と私は、運がよくほぼ同じタイミング(2021年)で購入できた。
そのデイトナを友人は購入数か月後(2021年年末)に売却した。
一方、私は今でも保有している。

 

輸入並行店では、定価約150万のデイトナが2021年に400万円を超え、
2022年2月には700万円台まで上昇、
2022年12月には下落し、今は約450万円で販売されている。

 

※出典:ロレックス専門店 クォーク銀座888店 (2022年12月15日)

 

2022年2月にデイトナを売却していれば大儲け出来たわけだが、
友人と私は損をしたのだろうか。

 

友人も私も天井で売れていないことを鑑みると、
双方損をしているようにみえるが、
個人的には2人とも全く損をしていないと思っている。

 

そう思うのは購入目的が異なるからだ。
私は、「目的が達成されている」=「購入(売却)して正解」であると思う。

 

友人は、デイトナをつけたかった。
短い期間でもデイトナ保有し十分に楽しんだ。
しかも売却して金銭的な利益(120万円)まで得られた。
大儲けである。

 

一方私の場合、
定期的にオーバーホール(検査・修理)すれば次世代まで使うことができる。
資産価値があり、定価より高く売れる可能性が高いので子供たちに残したい。
満足して保有している限り、損はしていない。
(購入価格より高い価格で取引されているのを見るのは気分が良い(笑))

 

2人に共通するのは、購入前に決めた基準に従い取引し、
当初求めていたリターンをともに満たせていることだ。

 

閑話休題

常に最高値で売るのが理想だが、それはほぼ不可能なので、
購入前に売却ルールも決めることは有効な手段だと思う。

 

私の場合、全ての投資に一律のルールを適応するのではなく、
それぞれの投資目的に合わせ、銘柄ごとに異なる基準を定めている。
以下は私が採用している取引基準の決め方である。

 

資産の投資目的に合わせ、異なる売却基準を決める。
投資目的は、①資産価値の最大化と②キャッシュ・フロー(生活費)の確保に大別できる。

 

①に関しては、売買を重ね、利益を積み上げることが求められる。
※主に、サテライト投資(短期売買用)の投資先が対象

 

資産に付随するリスクや資産に求める見返り(期待リターン)は資産ごとに異なる。
従って、一律に「30%の変動で売却。」というような基準は設けず、
銘柄(購入資産)ごとに大枠の取引基準を決めている。

 

例えば、時価総額の大きく、比較的価格変動が少ないと考える銘柄と、
将来性に賭け、株価が10倍になることを期待する銘柄では投資目的が異なる。

 

私の場合、「〇%上昇した場合は売却」というように、
(前提が変わらない限り)損切をしない前提で購入していることが多いようだ。
※事業内容(業績・業績見込み)と継続的な高配当を背景に

 

というのも、短期売買で利益を上下れない場合でも、
長期で保有したい銘柄を購入するようにしているためだ。

 

ただ、これが正しいのかどうかはよくわからない。
過去の取引(および塩漬け銘柄)記録を検証したが、
優劣を明確に判断することはできなかった。
ただ、感情(ストレス)の観点から自分にはあっているとは思う。

 

一方、②は、長期保有目的の資産(コア投資)であり、
資産価格が変動しても、
当該資産から得られるキャッシュ・フローに影響がなければ売買の必要はない。

 

「〇%価格が動いたら売却」というような基準ではなく、
 投資の前提が変わった時が売却のタイミングになる。

 

これは、①、②を問わず、すべての投資先に共通し守るべきルールでもある。
想定していた投資ストーリーが変わったら(※)売却の検討するようにしている。
※ビジネス環境の変化、政策変更、戦争、災害など不測の事態の発生

 

遵守すべきルール(基準)は異なろうとも、
決めたことを粛々と進める胆力が投資には求められていると考える。

 

 

 

REAL ROLEX vol.29 (CARTOP MOOK)

 

【雑感】FIRE卒業

最近SNSで「FIRE卒業」というワードがトレンド入りしているらしい。

 

投資(資産運用)のイメージがまた悪くなるような内容だろうな。

と思いながら関連する記事をいくつ読んだ。

 

「卒業」という言葉に反応し、

「FIRE”卒業”じゃなくて”失敗”だよね。」と揶揄するコメントが多かった。

 

運用計画が破綻して再就職するだけで、

「卒業」ではなく、ただの「敗者」だとのコメントまであった。

 

FIREし、早期退職した人が復職する理由は様々だ。

 

実際、退職したら暇すぎて、再度働き始めた友人はまわりにもいる。

以前やっていた仕事が好きだったことに気づき戻るパターンもあれば、

違う仕事をしている人もいる。

 

元々「より自由で幸せな」生活のために早期退職していたので、

仕事をすることが幸せだと感じれば、当然仕事に戻る。

 

やりたくないことをするのではなく、

やりたい仕事を「選んで」行う。

 

経済的に自立できており、いやいや働くのではなく、

自ら「選んで」やりたい仕事をする。

FIREのまさに醍醐味だ。

 

一方、「お金がなくなった。」という理由で再就職する場合は、

そもそもFIREに「入学」すらしていないのでは?と思う。

 

「FIRE」は、Financial Independence, Retire Earlyの略であり、

「経済的自立と早期リタイア」を意味している。

 

お金が無くなったということは、

前半の「経済的自立」ができていなかったということではないのか。

 

FIREについて真剣に考え準備した人の多くは、

支出をコントロールし、過度なリスクを取らず、

保守的な運用方針(※)で、危機に備えたバッファーを持っているはずだ。

※投資した資産価値が下落した状況も想定しているはず

 

 

FIREブームの時もそうだが、

バズらせるため、キャッチーな単語を選び、

投資に誤ったイメージを植え付けることはやめてほしいものだ。

 

投資と投機(※)を一緒くたにし、

儲けた輝かしい側面にのみ焦点をあて投機を煽ったり、

資産運用の失敗をあざ笑うような特集(記事)が減るといいな。

 

kunco.hatenablog.jp

 

 

参考記事:        

「FIRE卒業」SNSでトレンド入り 投資で生活…甘くない?

[2022/11/09 10:57]  テレ朝 News

https://news.tv-asahi.co.jp/news_economy/articles/000275008.html

 

そう甘くはないようです。

 

■「FIRE卒業」SNSでトレンド入りに反響

 

 東海地方在住・30代男性:「転職とかもしたんですけど、どうも合わなくて。やっぱり、自分に合うのは『FIRE』。金銭的に自由になって、好きなことからしながら、生きてくっていうのが合うかなと思って。『FIRE』目指し始めた」

 

 去年の夏に紹介した、経済的に自立し、早期リタイアを目指す新たな生活様式「FIRE」。

 

 働かなくても、投資が生む利益で自由に暮らそうと、2014年ごろにアメリカでブームになり、日本でも2年ほど前から広まっていました。

 

 しかし先週、SNSで「FIRE卒業」という言葉がトレンド入りしました。

 

 ツイッターから:「FIRE卒業って、どういうこと?」「FIRE卒業って、資産運用失敗した人が、再就職するだけなんじゃ」

 

■投資で“自由な暮らし”…実現は困難か

 

 「FIRE卒業」には大きく2つのパターンがあるとみられています。

 

 1つは、早期リタイアをしたものの、暇を持て余しているパターン。もう1つは、投資計画の破綻です。

 

 今、個人投資家に何が起きているのか。コロナショックから投資を始めたという女性に話を聞きました。

 

 東京都在住・40代女性:「以前はアメリカ株がうなぎ登りでしたが、今年に入ってから株価の下落が激しく、大幅なマイナスになっています」

 

 この女性の口座を見せてもらうと、600万円以上あった資産が半分以下になっていました。

 

 投資による自由な暮らしを実現するのは、簡単ではないようです。

 

(「グッド!モーニング」2022年11月9日放送分より)

【資産運用】REIT

【まとめ】

  • インフレ抑制のための金融引き締めを背景に景気減速懸念で、ほぼ全てのアセットの価格が下落している。
  • REITも価格が下落しているが、長期投資の観点からは買い場である可能性が高い。
  • 安定的なキャッシュ・フロー確保のために当面米国REITを継続して買増していく予定。

 

ベースシナリオとして、市場が混乱するであろうと考え、
今年はキャッシュの積み増しを心掛けている。
(あまりうまくはいっていないが…)

 

一方、将来的なキャッシュ・フローの確保のため、
REITおよびグローバルREITを継続的に購入している。

 

そんな話を友人にしたら、
「利上げ局面で、景気悪化が見込まれる今、REITはやめた方が良いんじゃない?」
と言われた。

 

先行きが依然不透で、
今後もREIT価格の下落リスクは「短期的」に大きいと思う。

 

マーケット全体がリスクオフとなっている環境下、
業績見通しが堅調なセクターを含み、
ほぼ全てのセクターが年初来でマイナスのパフォーマンスを示している。

 

2022年年初来より、
インフレ抑制のための金融引き締めを背景に景気減速懸念が高まる中、
株式同様RIETも軟調な展開が続いている。

 

マーケットを大きく揺るがすきっかけになったのはインフレであり、
米国においてはインフレのピークアウトの兆しがみられるかなと思われた一方、
インフレ環境の長期化は避けられないようにみえる。

 

インフレ抑制のため積極的な金融引き締めが実施され(※)、
REITのインフレ耐性や堅調な業績が評価されるよりも経済停滞への懸念が先行している。

kunco.hatenablog.jp

 

「インフレ」と「金利上昇」はREITにとってネガティブにとらえられることが多い。
果たして本当にそうなのか、今REITの購入を続けてよいか考えてみた。

 

①インフレ:
REITインフレ・ヘッジ特性(※)を有しており、
株式・債券と比較し耐性を発揮する可能性がある。
※インフレ(物価上昇)により通貨価値が相対的に減少するリスクを回避すること。

  • 賃料を引き上げられる
    (契約期間が短いもの:貸し倉庫、賃貸住宅) 契約更新時に引き上げ可能
    (長期契約) エスカレーション条項(インフレに連動し、賃料が上昇する)が入っているため、長期的に賃料は上昇する(インフレにやや遅行)

  • 建築コスト(建築資材、人件費)の上昇
    新規物件の建築コストが上昇し、供給が抑制される。
    結果、既存物件への需要が集まり、賃貸市場であるREITにとってプラス。

 

  • 営業利益率が高い(米国 60%程度)
    人件費など、コストが上がっても、負担増を吸収する余力あり。

 

  • 税的優遇
    株式投資と異なり、二重課税が避けられる。
    ※インフレとは直接関係ないが、投資家のコストが減る。

 

金利上昇
金利上昇がREITにとってマイナスとされる根拠として、
一般的に以下2点があげられる。

  • 借入コストの上昇
    負債比率が減少傾向にある。
    リーマンショック時と比較し、
    REIT各社の財務体質も改善されており、借入コストの負担増は軽減されている。

  • 債券の利回り差の縮小
    REITは配当(インカム・ゲイン)のみならず、キャピタル・ゲインも見込むことができる。

    REITの長期的なトータル・リターンは過去実績で見ると成長性が高いといわれる米国株式と同等程度ある。

 

金利が上昇しているときは、経済がプラス成長の際か、
高インフレの時のどちらかである。
どちらの場合も、賃料が上昇しやすい環境である。

 

不動産の賃料収入を源泉とする配当収入は、安定的な収入源であり、
持てば持つほど積み上がり、長期的には価格変動リスクをカバーする。
長期的な見通しがある投資先であれば、保有メリットが大きい。

 

従って、価格が下がっているREITは長期的な観点で今買っておくのはよいと考える。

 

なお、株式、REIT問わず、投資対象にすべきだと考える地域の特性は以下の通り。

  • 生産年齢人口が増えている
  • 投資インフラがある程度整っている
  • 法で守られている

 

米国REITおよびグローバルREIT(※)は上記基準を満たしている。
時価評価額ベースでカントリー・アロケーション(投資対象国への資金配分割合)が決められるためほぼ70%の資産が米国になる。

 

日本のREIT保有しているが、
震災リスクおよび人口動態を鑑みると投資すべきREITと配分は限定的である。

 

補足:
上記を見ると米(グローバル)REITに投資すれば高確度で儲かりそうにみえるが、
他の有価証券同様、当然ながらREITにも価格変動があり、
分配金の減少や元本割れする等のリスクがある。
※以下、ご参考、【RIETの主なリスク】参照

 

ご参考:
REITとは】

  • REITは、「Real Estate Investment Trust」の頭文字をとった略称。日本語では「不動産投資信託」を指す。
  • 通常、多数の投資者から集めた資金で複数の不動産(オフィスビル、商業施設、マンションなど)への投資を行う。
  • 投資先不動産から得られる賃貸料収入および不動産の売買益を原資として投資者に配当を支払う。
  • 投資先不動産の選定、購入および売却、保有不動産の運営、管理など資産の運用全般については、プロの資産運用会社が行う。
  • 投資者は、REITを通じて間接的に様々な不動産のオーナーになり、不動産のプロによる運用の成果を享受することができる。

 

REITのメリット】

  • 少額で取引でき、売却も容易(実物不動産より流動性が高い)
  • 少額の投資で分散投資が可能
  • 管理の手間がかからない(プロが物件を管理)
  • インフレに強い
  • 株式と比較して高い利回り
  • 株式と異なり二重課税が避けられる

 

REITの主なリスク】

  • 分配金の減少リスク
    賃貸市場の低迷、自然災害による被害、不景気に伴う不動産価格の下落などにより分配金が減ることがある。
  • 法改正
    不動産投資にマイナスになる法改正(規制強化)が施工される。

 

9月のFOMCと今後の投資戦略

【まとめ】

FOMCでの今後の「経済・金融見通し」を受け、7月末に策定した投資戦略の修正。

・大筋のストーリは変わらず(損益通算を使い、税金還付により米国債投資における利益を拡大できる可能性あり)。

・ただし、9月FOMCの結果を受け、米国債への投資タイミングを数か月(早くとも11月FOMC後)遅らせるべし。

 

kunco.hatenablog.jp

 

 

以下は、今回のFOMC(2022年9月21日、22日)をうけ、FRBが発表した米国経済および金利見通し。

※URL: https://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/files/fomcprojtabl20220921.pdf

 

【上記見通しから読み取れること】

アメリカの潜在成長率(長期見通し)は、1.8%であるのに対し、2022年および2023年のGDP成長率はかなり低く見積もられている。

 →景気を悪化させても利上げを継続するというFRBの強いコミットメントが見える。

・6月時点の見通しと比較し、FF金利の利上げ幅が大幅に上昇。

FRBの思惑通りに進む場合、2025年にはインフレ率が2.1%まで下がり、インフレが落ち着く。

・上記シナリオ(景気悪化とインフレ鎮静)に基づき、2025年には2.9%までFF金利を引き下げる。

 

【投資プランの修正】

FRBの想定通りに進んだ場合、FRBは2024年に利下げを行う。

  →7月末に想定していたより高金利の継続が見込まれる。

・現在の円安ドル高の主な要因は、米国金利の上昇によるものだと考えているため、

 将来金利が下落した際には、円高ドル安方向に進むと考えている。

 →円高ドル安に転換するタイミングが7月末に想定していたより遅くなる可能性あり。短期債に投資するタイミング(もしくは、償還日)を遅らせるべき(為替差損による節税効果)

・インフレ抑制へのコミットメントが強く、更なる利上げが見込まれる。

 →短期債利回りの更なる上昇可能性あり。

・上記を踏まえ、9月FOMC後の米国債購入を見送り、11月FOMCまで様子見することを決めた。

 

【ご参考:米国債利回り比較】

 

投資戦略 損益通算と米国債 (2022年7月25日)

【まとめ】

・目的・ポートフォリオの状況により、追加リスクを取らずリターン拡大のチャンスに挑める。

・損益通算を使い、税金還付により米国債投資における利益を拡大できる可能性がある。

・9月のFOMC後、残存期間が2年前後の米国国債を購入予定!

 

米国(FRB)はインフレ対策への強いコミットメントを示し、

継続的な利上げが見込まれている一方、

行き過ぎた利上げが経済を鈍化させ、

早々に金融緩和に戻るのではという見方が増えている。

 

いつ利上げをやめるのかは誰にもわからないが、

歴史を見る限りにおいて「利上げ⇒景気悪化⇒金融緩和」を繰り返している。

日米の為替は米国の金融政策の影響を強く受け、

米国の金融緩和時において基本円高基調になる。

 

現在の円高は日米金利差によるものと考えている。

そして2年以内に現在の水準よりは円高に進んでいるだろうと予測している。

 

【投資戦略】

・利上げにより投資妙味が出てきた米国債保有している米ドルで購入。

・購入するのは、既発債でアンダーパー(※)の残存期間が2~3年もの。

※額面より安い価格で売られているもの。

・償還時に為替差損により償還差損が出ることを期待して投資する。

・償還差損を使った損益通算による税金還付を狙う。

 

なお、前提として、私は、ドル投資からのリターンはドルで保有するスタンスであり、

一定の配当収入が見込まれる状況である。

 

為替が上記のシナリオ通りに行くのであれば、

金利上昇により割り引かれた価格の債券を購入しても、

円安時に購入し、円高時に売却した場合、円ベースでは「譲渡損」がでることがある。

 

毎年の利息に加え、ドルベースでの償還差益を非課税で受領できる上に、

円での税金還付を受けることができる。

また、仮に、円高にならかった場合は、

通常通りのリターンになるだけの話なので、

損をすることはない。

自分にとってはアップサイドしかない取引と言える。

 

このように、投資目的とポートフォリオの状況によっては、

追加でリスクを取ることなく期待リターンを上げる方法もある証左である。

他にも似たような投資先がないか探していきたい。

 

【例】

額面 : $10,000分  (償還金額:満期に受け取る金額)

購入価格: $9,700 (購入金額)

為替: (購入時) $1=135円 

 

上記の例の場合、ドルベースの場合、償還時に償還差益$300が発生するが、

もし、購入時の為替が$1=135円で、償還時に$1=115円まで円高が進んだ場合、

234,500円(1,115,500円-1,350,000円=△234,500円)の償還差損が発生する。

 

その年に、234,500円以上の上場株式等からの配当や譲渡益がある場合、

上記償還差損と「損益通算」することができ、

結果約47,000円の税金還付を受けることができる。

 

償還時の為替が購入時の$1=135円と同じだった場合、40’500円($300×135円)の償還差益が発生し、約8,100円(40’500円×20%)の税金が源泉徴収で引かれるはずが、

為替差損が発生する上記の例では税金還付を受けられる。

 

【仕組詳細】

・債券と金利の仕組み:

債券(既発債※)の価格と金利は逆相関の関係にある。

金利上昇局面において、すでに発行されている債券の価格は下落する。

※既発債:すでに発行されている債券

 ご参照(債券価格):別エントリー)

 

債券の利息水準が現在の金利水準(他の債券)よりも低いと誰も買わず、

金利水準の利回りと同等のリターンになるよう債券の価格が下落する。

 

例えば、3年前に0.6%のクーポン(利息)を支払う条件で発行された5年債(残存期間2年)は、

今の2年金利と同水準のリターンが得られるように債券の価格が下落する(例:$100の額面で売られていた債券が、$99.78で販売される)。

額面より安く買った債券が、満期において満額(額面)で償還されることで、

利息に加え償還益が得られるようになり、

結果として現在の金利水準と同程度のリターンが得られるようになる。

 

・税金:

日本において米国債(株式も同様)に投資した場合、

①配当を受領した際、②有価証券を売却し譲渡益が発生した際、

日本において課税される。

ポイントは、課税対象となる利益は円ベースのものになる点である。

 

外貨建の有価証券に投資をした場合、

受領した利息は、その時の為替に基づいた円ベースでの金額、

譲渡益に関しては、購入時における円ベースでの購入価格と売却時の円ベースでの差額で計算される。

 

 

【損益通算例】

上場株式の配当からの収益は、上場株式等の譲渡損(売却損)と損益通算(※)できる。

例えば、特定口座において(※)、A、BおよびC株式からの配当収入が20万円ある場合、

源泉徴収で約4万円((税率約20.315(2022年7月現在))税金が控除される。

上記配当受領後に、同口座において保有していた上場株式等を売却し、

10万円の譲渡損益が発生した場合(例:1株2,000円で100株購入した株を1,000円で売却)、

配当収入より得た20万円から当該損失10万円を控除する形で、

税金が再計算される。

今回の例の場合、すでに源泉徴収されていた税金4万円のうち約2万円が還付される。

※確定申告すれば一般口座もしくは異なる証券会社の口座でも損益通算は可能

 

ご参考:(日興証券):https://www.smbcnikko.co.jp/service/tax_sys/stock/tsuusan.html

 

上記の例の場合、2万円の税金還付があるとはいえ、

株式売却により10万円損失を出しているのであまり魅力的な内容ではない。

 

損益通算は、損失を軽減するための一つの手段でしかない。

※今後上昇が期待できない資産に投資することは、機会損失であるため「損益通算」は投資において大事な投資ツールである(より投資妙味がある投資先に振り分けるべき資金を使われているため)

 

米国債利回り:2022年7月25日時点

 

【資産運用】2022年上半期

ポートフォリオ時価総額年初来推移】

・ディフェンシブなポートフォリオを組んでいるため、他のインデックスがマイナス領域に入る中、辛うじてプラス圏で推移している。

・ただし、米ドル高の恩恵を受けている結果であり、今後ドル円円高方向に進んだ場合、パフォーマンスが悪くなる可能性あり。

・米利上げが終わるタイミングでドルをユーロもしくは、円に換えることで、ドル安によるポートフォリオ減価を軽減させると同時に、次のドル高局面に備える。

 

 

 

【配当および不労所得の推移】

・実現利益の前年同期比ベースでは、おおむねプラスで推移している。

・今年は総不労所得(税引き後)の1,000万円超えが見えてきた。

 ※不動産収入含めて

 



2022年6月30日時点におけるポートフォリオ内訳

【地域別】

日本: 43.2%

米国: 46.8%

オーストラリア: 6.1%

中国: 2.0%

インド: 0.2%

その他: 3.8%

 

 

【変動要因】

日本および米国:

大幅下落する米国株に比較し、日本株のパフォーマンスは相対的に悪くなかったため、

日本へのエクスポージャー比率は上昇し、米国向けは減少した。

その他:

減少の主な要因は、5月末に運用していた個人年金(海外株式インデックス)を円建ての定期預金にスイッチしたため。

 

【商品別】

※()内は、日本

株式: 48.7% (33.9%)

 REIT: 11.3% (2.0%)

コモディティ0.6% (1.6%)

投資信託: 22.2% (2.1%)

ETF:  1.1%

現金: 21.3%

 

 

 

【変動要因】

 REIT

年初の目標通り、REITの積み増し。

米国金利上昇および世界経済悪化懸念により引き続きREIT価格の下落が見込まれるが、

長期的な観点で買い場と考え、継続的に買増していく予定。

 

コモディティ

リスク回避の観点で金の保有率を高める予定だったが、

2月のロシアのウクライナ侵攻直前の暴騰時に、

(侵攻は起こらないと考えていたため)金を売却し利確。

多くの証券会社の見通し通り、

年末に向け金の価格水準が切り下がった際に買増す予定。

 

投資信託

減少の主な要因は、5月末に運用していた個人年金(海外株式インデックス)を円建ての定期預金にスイッチしたため。

当該スイッチは、ドル高および米金利上昇に伴う、

世界経済の見通しの悪化による株価変動リスクを回避するため。

米ドルの下落および米経済の上昇局面(次回の金融緩和期を想定)に再度海外株式インデックスにスイッチする予定。

 

ETF

減少の主な要因は、

RIET指数連動ETFの属性をPB管理上「ETF」から「REIT」に変更したため。

 

現金:

年初の目標通り現金積上げ。

但し、米株および日本株に関しては、

業績好調なモニター銘柄が環境に引きずられ大幅に下落した場合、今後も拾っていく予定。

 

【課題】

米ドル高により、米有価証券の下落分が相殺されている点留意。

金利上昇局面終了後のドル高是正局面に向け、

ドルを円転するか慎重に検討する必要がある。

(現状、円転には消極的だが、今の時価ベースで米向けエクスポジャーが40%になる位までは円転を検討)