円への信認

【まとめ】

  • 今回の円安は景気循環(サイクル)的なもので、米金利が低下する際、円高局面はまたやってくると考えている。
  • ただし、長期的な観点では、外貨に対してのみならず、「物」に対しても円安(インフレ)になると考えている。
  • 外貨・物に対する「円」の減価に備え、今から投資・ヘッジについて考えるべし。

 

2022年6月15日、米連邦準備制度理事会FRB)が0.75%の利上げを決定。

 

インフレ懸念が引き続きくすぶり、

利上げ終了の目途が立たないうちは円高が続きそうな感じだ。

 

$1=135円を超え、50年来の円安だと、懸念する報道が目につくが、

個人的には、今の円安ドル高は、日米の金利差が主因であり、

どこかのタイミングで、利上げによる景気失速が起こり、

米金融緩和に再度転じ、米金利が低下する局面がくると思う。

そしてその際、円高基調が再びやってくると考えている。

 

ただし、長期的にみると「円」は他通貨に対し弱くなる(減価する)可能性が極めて高いと思う。

 

一時的に円高に振れることはあるが、

長期的にみると円安(対外貨、物)になる。

 

したがって、円高時に、外貨などに資金を振り分けることで、

利益を上げるチャンス、もしくはリスクを避けるためのヒントがあると思う。

 

個人投資家として、「将来性」と「信用力」の2つの観点より、

長期的には円は「減価」すると思っている。

※少なくとも円安に振れる時期が定期的に来ると考えている。

 

①将来性:人口動態を見たとき、日本の生産人口は減少している

⇒生産人口の減少は、消費人口の減少を示し、日本の市場規模が将来的に更に小さくなることを示している。

 

②信用力:日本の財政赤字(2020年度 財務省:1,356兆)

⇒上記日本市場の縮小に伴い、日本への信頼が揺らぎ、円が売られる瞬間が必ずくると考えている。

(日本がデフォルト(破綻)するという意味ではない)

 

① 日本の人口動態(2021年10月1日時点の人口推計)

    • 生産年齢(15~64 歳)人口が58万4000人減の7450万4000人。
    • 総人口に占める割合は4%で過去最低を更新。
    • 出生児数は83万1000人(前年より4万人減)である一方、死亡者数は144万人(6万8000人増)。
    • 出生児数が死亡者数を下回る自然減(15年連続)
    • 2020年現在の出生率: 34
    • 産まれる子供が少ないことは、将来の労働人口が少ないことを意味している(20年後に二十歳になる人口が数年後に増えることはありえない!)

 

 

② 円への信認

上記①の通り、市場規模が小さくなることが見込まれる日本。

現状の経済規模と比較しても大きすぎる国の借入。

いつか、キャピタルフライトが起こると思っている。

 

具体的な数字とそこから導き出される結論は以下の通り。

  • 名目GDP: 535.7兆円

   GDP(1年間で日本が儲けたお金の総額)がなぜ指標として重要か。(英語の本の内容を参考に文章を追加)

  • 税収: 63兆円(令和3年度)
  • 借入金額:普通国債残高: 1,026兆円 (令和4年度末(見込))
  • 利払:8.2兆円(令和4年)

  ※マイナス金利環境下のため、利息金額は低水準になっている。

   1%の金利上昇は、利息が10兆円増えることを意味する(実際には、すでに発行されている国債金利がすぐに上がるわけではないので、金利上昇後、利息が上がるにはタイムラグがある)。

  • 国税庁作成)家計に例えると、給与所得630万円の家庭が、1,066万円支出し、不足分436万円を金融機関より毎年借入れている。そして、ローン残高が約990万円すでに積みあがっている。
  • 人口動態より、今後日本の消費市場は縮小し、高齢者の更なる増加により医療費・介護費用などは増える。⇒政府の歳入(税収)が減り、歳出(支出)が増える(2022年度予算:社会保障 3兆円)。
  • このような状況で私は日本にお金を貸したくないし、将来的にそのお金が帰ってくるとは到底思えない。
  • 外国為替市場において、信用力の少ない通貨は売られる。いつかはとても残念な円安時代が来ると思っている。その時に、購買力を確保できるように今適切な運用先を探し、分散投資をしていきたいと考えている。

 

財務省:①財政に関する資料 : 財務省 (mof.go.jp)

    ②日本の財政の状況 財務省 (mof.go.jp)

国税庁: [これからの社会と税] これからの国の財政 (1) | 税の学習コーナー|国税庁 (nta.go.jp)