【資産運用】 負けにくい投資 (English)

English version of 

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【Summary】

  • Always invest with excess cash.
  • Don’t exit the market: The most important thing when you invest!
  • Develop and adhere to the investment principles based on your target returns and risk tolerance.
  • Without an investment principle, you would be at the mercy of the market and tend to make irrational decisions (The possibility of being forced to exit the market increases).

 

People with no investment experience often ask me, “What should I buy now (what should I buy to make a profit?'').

 

Since no one can predict the future, I cannot say what you should buy, however I would like to tell you the following three points as important to minimize investment failures. I know these are cliches!

 

  • Invest with excess cash
  • Put time on your side (long-term investment)
  • Make sure your investment objectives and risk tolerance before an investment, then set up an investment principle (and adhere to it)

 

① Invest with excess cash (Don’t exit the market)

No one can predict the future even though you can “statistically” increase the probability of winning through economic and corporate analysis.

 

No matter how much you improve the accuracy of prediction, it doesn’t guarantee your future profits.

Therefore, you need enough cash to stay in the market until the probability converges to the expected result (*).

*Unless the premise of the investment has changed

 

You should not invest with money which would force you to buy or sell, such as the initial deposits you will pay next year, or the funds you will need for your child's education in two or three years.

*Some exceptions such as risk-free assets.

 

② Put time on your side (long-term investment, utilizing the effect of “compound interest”)

  • Greatly benefit from the "compound interest effect" by reinvesting dividends and interest earned from investment assets.
  • The longer the holding period, the less fluctuation of the price. So for a long-term investment, you can expect relatively stable returns.
  • Low transaction costs as the number of transactions is small.
  • Good compatibility with reserve investment such as dollar-cost averaging.

*Although there is no clear definition, we assume that a period of 10 years or more is considered a "long-term investment."

 

In order to invest for the long term, it is important to invest with the "extra funds" as mentioned in ① above.

 

③ Establishing an investment principle (Based on investment objectives, expected returns, and acceptable risks)

Just like in business management, without clear objectives to pursue, you cannot choose the appropriate means (strategy) to achieve them, let along, decide what asset class (*) you should invest in.

*Asset class: A group of assets with similar return and risk characteristics

 

By clarifying your investment goals; ⓐ what you are investing for and ⓑ by when you target to achieve, you can decide on your target return (annual rate).

 

In addition, by knowing your own risk tolerance (*), you can verify whether the objectives, period, and target return set above are realistic, and based on that verification, you can finally decide which asset class to invest in.

 

Despite the large discrepancy between your originally envisioned goals and the current situation, if you find it unrealistic to take sufficient risks (*) to achieve your goals set up above, you will need to adjust your course to a more realistic goal.

 

*Risk / risk tolerance

Risk refers to the fluctuation range (image of price movement) of income (return), and risk tolerance refers to the amount of loss (risk) that occurs with asset management.

It refers to the degree a) to which something is acceptable or b) to what extent it can be tolerated.

It varies depending on age, annual income, family structure, asset size, etc.

(As a general rule, for higher return, you should take higher risk; for lower return, you should take lower risk.)

 

Before actually investing, having clear objectives and an image of price movements (risk) in your mind will help you avoid cutting your loss or taking profits at the wrong time.

 

It also helps avoid investing in financial fraud seeking unrealistic returns.

 

Once again, I would like to reiterate “in order to avoid losing hard in an investment, it’s crucial to continue investing according to the rules you have set in advance, despite the price fluctuations of your investment assets and stay in the market.

【資産運用】 負けにくい投資

【まとめ】

  • 投資は必ず余裕資金で行う。
  • 投資をする上で一番大事なことは、市場から退出しないこと。
  • 目標リターンおよびリスク許容度に基づく投資方針を策定し、遵守すること。
  • 投資方針が定まらない状態では市場に翻弄され、非合理的な判断を下しがち。強制的に市場から退場させられる可能性が高まる。

 

 

投資未経験者から
「今から投資するとしたら何を買えばよい(何買ったら儲かる」?」、
と聞かれることがしばしばある。

 

将来を見通すことはできないので、何を買うべきか明言することはできないが、
投資での失敗を最小化するために大事なこととして以下3点を伝えている。

 

①余剰資金で投資する
②時間を味方にする(長期投資)
③投資前に投資目的とリスク許容度を確認した上で、
 投資方針を決める(そしてそれを遵守する)

 

 

①余剰資金で投資する(市場から退出しない)
経済・企業分析などにより「統計的に」勝つ確率を上げることはできても、
未来は誰にも見通すことはできない。

 

どこまで確度を高めても将来の利益は「確実」にはならない。
だからこそ、確率通りの結果に収束するまで(※)耐えられるだけの資金が必要。
※投資ストーリーが変わっていない限り

 

売買を強制させるような、来年支払うマンション購入時の頭金や、
2、3年後に必要となる子供の教育資金で投資すべきではない。
※リスクフリー資産など一部例外あり。

 

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②時間を味方につける(長期投資、複利効果)

  • 投資資産より生じた配当・利息を再投資することで、「複利効果」を得られる。
  • 保有期間が長いほど、価格の動きは平準化される傾向にある。
     → 長期で運用続けると、安定したリターンが期待できる。
  • 取引回数が少ないぶん取引手数料を抑えやすい傾向にある。
  • 積立投資との相性がよい。

        ※明確な定義はないが、ここでは10年以上を「長期投資」と想定している。

(出典:金融庁 「つみたてNISA早わかりガイドブック」)

 

長期的に投資するために、上記①の「余裕資金」で投資することが重要になる。

 

③投資方針の策定(投資目的、期待リターンおよび許容リスク)
会社経営同様に、目標が明確でないと、達成するための手段が曖昧になる。
そもそもどんなアセット・クラス(※)に投資すべきか決められない。
※アセット・クラス(Asset class):同じようなリターンやリスク特性を持つ資産グループ

 

ⓐ何のために投資をするのか、ⓑどのくらいの期間での達成を目指すか、
投資目標を明確にすることで、目標達成するために必要な目標リターン(年率)を決められる。

 

また、自分のリスク許容度(※)を知ることで、
上記で設定した目的、期間および目標リターンが適切なのか検証でき、
その検証に基づき、投資すべきアセット・クラスを決めることができる。

 

もし、当初想定した目標と現状の乖離が大きいにも関わらず、
目標達成に対し十分なリスク(※)を取れない場合は、
より現実的な目標へと軌道修正する必要がある。

 

※リスク / リスク許容度
リスクとは収益(リターン)の振れ幅(値動きのイメージ)を指し、
リスク許容度は、資産運用に伴い発生する損失(リスク)を
どの程度受け入れられるか、どこまでなら許容できるか、
という度合いのこと。

年齢、年収、家族構成、資産規模等により異なる。
(ハイリターンを狙えばハイリスク、ローリターンを狙えばローリスクが原則)

 

 

実際に投資する前に、
目標と資産の値動きのイメージ(リスク)を持つことが心のよりどころになり、
誤ったタイミングでの「損切」や「利益確定」を回避することができる。

 

 

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また、非現実的なリターンを求めてリスクの高い金融商品へ投資することを避ける一助にもなる。

 

 

負けにくい投資をするためには、
投資資産の価格変動に心がブレることなく、
自分で定めたルールに従って投資を続ける(マーケットから退出しない)ことだ。

【資産運用】2023年上半期

ポートフォリオ時価総額年初来推移】

  • ベンチマークのパフォーマンスを下回るも、年初来+17.29%と絶対値としてはまずまずの成績。
  • ベンチマークを下回った主な要因は、①低迷基調であったREITへの投資を増やしたため(長期的な観点でみて割安だと判断)、②悲観シナリオ(景気悪化)をベースに、株式へのエクスポージャーが過度に膨らまないようにしていたため。
  • 米国利上げ停止(及び将来的な利下げ)は大幅に想定外に後ろ倒しになり、米経済のソフトランディングを予想する市場参加者が多いが、年初想定した悲観シナリオを修正しない。
  • 従って、下期も引き続き、現在の米金利高およびその将来的な利下げを見越した、イールド・ハンティング(利回り追求)を投資の主軸し、株式に関しては、基本、悲観シナリオをベースに運用する。

    出典: Yahoo Finance データを加工

 

【配当および不労所得の推移】

  • 実現利益の前年同期比ベースでは、おおむね同水準で着地した。
  • 米国の金利高により、一部の投資信託(優先出資証券)の分配金が減少したが、①グローバルREIT(毎月分配型)の買増し、②配当金および譲渡益の高配当銘柄への再投資により、受領配当金額が増加。
  • 当初の目標であった、配当(分配金含む)のみで「毎月税引き後20万円以上」のほぼ達成 (6ヶ月の月平均27万円)。
  • 不動産所得及び株式譲渡益を含め、税引後不労所得1,000万円が射程内に。

 

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【地域別】





※()内は、2022年年度末比

日本: 43.8% (+2.3%)

米国: 41.7% (△4.9%)

オーストラリア: 6.7% (+0.1%)

中国: 1.3% (+0.0%)

インド: 1.7% (+1.3%)

その他: 4.7% (+1.2%)

 

【変動要因】 ()内の数値は、2022年年度末比

日本および米国:
日本へのエクスポージャー(比率)は、+2.3%と微増(時価ベースでは、+15.6%)であった一方で、米国向けは減少(△4.9%)(時価ベースでは、+2.9%)。日本株の上昇率が相対的に高かったことに加え、米ドル建ての債券および優先出資証券が低調だったため、日本向けが増加し、米国向けが減少した。

 

オーストラリア:
微増(+0.1%)。上半期における売買はなく、保有有価証券の価額変動はほぼみられなかった。時価ベースでは、+16.54%と上昇した。

 

インド:
微増(+1.3%)。期初の目標に従い、ワールド・リート・オープン(毎月決算型のグローバルREIT)からの分配金で毎月少額だが積立で購入。当該ETFのパフォーマンスが良かったこと、および、追加投資によりインドへのエクスポージャーが微増した。下半期も同様のペースで積立てていく予定。最終的には全体の5%を目指す。

 

その他(グローバル):
微増(+1.3%)。期初の目標に従い、リスク分散の観点より、個別株よりグローバルに投資する投資信託REIT含む)へのエクスポージャーをうつしているため。

 

【商品別】

 

※()内は、2022年年度末比

株式: 48.4% (+0.2%)

REIT: 11.1% (+0.3%)

債券: 2.9% (+0.3%)  

コモディティ: 1.6% (+1.0%)

ETF: 2.5% (+0.5%)

投資信託: 15.7% (△0.3%)

国債(米国): 3.2% (+2.3%)

現金: 0.8% (△2.4%)

 

 【変動要因】

総論:
年初の投資方針に従い、株式の比率を下げ、他のアセットクラスへの投資比重を高めるよう試みていたが、株式価格の上昇によりポートフォリオ全体の時価評価額が上昇したため、各資産クラスの比率変動は全体的に少なかった。

 

株式:
ほぼ変わらず微増(+0.2%)にとどまった。一方、時価ベースでは、15.6%上昇。下期においても、引き続き悲観シナリオを想定し、個別株式の一部を売却し、よりリスク分散された投資信託およびETFに一部振り分けることで、株式へのエクスポージャー(比率)を増やさないように努める。ただし、配当金に関しては、安定的に高配当が見込める株式、もしくはリスク高めでも高成長が期待される企業の株式購入に当てていく予定。

 

投資信託 / ETF
投資信託が微減(△0.3%)、ETFは、微増(+0.5%)。ともに変動は小さかったが、投資信託およびETFへの追加投資(※)によりは時価ベースで、2022年12月31日現在よりそれぞれ12.7%および43.3%増加した。下期も投資信託ETFへの投資を継続する予定。

 

 REIT
微増(+0.3%)。期初目標に従い、米国金利上昇および世界経済悪化懸念による一時的な価格の下落を覚悟した上で積極的に積み増した(長期的観点では買い場だと考えている)。想定通りREIT軟調に推移したため、投資元本に対し、エクスポージャー比率は微増にとどまった(時価ベースでは、2022年年末より+12.7%)。下期においても、上期同様REITへのエクスポージャーを時間分散しつつ、積み増していく予定。

 

ドル建て債券・国債
2022年年度末より2.3%増加。利上げの停止(米)がまだ見えないので、投資額は予定より抑えられた。下期においては、利上げ停止の蓋然性が高まった時点で追加投資する予定。

 

エクスポージャーをあまり気にせず、利息によるキャッシュフローの絶対値でモニターしていく(※金利による価額変動は気にせず、利回りを見ながら今後も追加投資を検討していく)。
金利下落により債券価額が大幅上昇した場合の売却はありえる。

 

- コモディティ: 
微増(+1.0%)。金価格の上昇および一部ETFに分類されていたものをコモディティに再分類したため。上期において追加投資はゼロ。

 

現金 / MMF
減少(△4.3%)。実質ベースでは、大幅に減少(△11.0%)。年初設定の目標(MMF(現金)+米国債/社債で20%~25%維持)に対し、20.8%を維持(2022年年度末より△5.1%)。減少の主因は、債券への追加投資(金利上昇により価額は下落)。また、株式売却により現金確保を試みるものの、予定以上に追加購入していた模様。下期は、より慎重に今度こそ現金を積み増したいと考えている。

 

【課題】
株式へのエクスポージャーの削減の進捗度合いはよくない。その主な要因は、ポートフォリオ全体の資産価値の上昇(日米株式相場の堅調さとドル高)であるため、現状大きな問題はない。ただし、想定通り、悲観シナリオが現実化した際のポートフォリオへの影響を十分に留意しながら、株式などへのエクスポージャーが大きくならないように気を付ける必要がある。一方で、株式の上昇気流に乗る必要もあるため、適度にリスクをとりつつ、投資時のルールに基づき、資産を売却すべき兆候が見えたら、ルール通り売却するよう常に心掛ける必要がある。今まで以上に投資ルール厳守を心掛ける必要がある。

 

 

【2023年6月】FOMCと今後の債券投資

FOMC(2023年6月)と債券投資】

  • 米連邦準備制度理事会FRB)が政策金利据え置きの決定した一方で、年内あと2回の追加利上げの可能性を示唆。
  • パウエル議長の会見でのタカ派発言により、「利上げフェーズの終了」への期待が後退。
  • 23年年末を目途に日米金利差縮小による円高を想定していたが、当初期待していたドル建て債券の償還時における税効果が得られない蓋然性が高まった。
  • いつかは利下げに転じるであろうことを鑑み、引き続き米国債券への投資を継続していきたいと考える。

 

6月の米連邦公開市場委員会FOMC)では、
昨年より10会合連続で行われた利上げの停止が決まった。
政策金利目標を5~5.25%(全会一致)

 

市場の予想通り政策金利が据え置かれた一方、
FOMC議事録での政策金利の見通しの中央値では、今年末の水準を5.6%とし、
政策金利見通しが年内0.25%の利上げ2回を織り込む水準に切り上がった。

 

昨年米ドル建て債券の購入を始めた際には、
今年の年末から来年初にかけての利下げ(とそれによる円高)を見込んでいた。

 

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「米金利下落 →(日米金利差の縮小による)円高」で、
税金還付を含めた債券からの償還益の拡大を狙っていたが、
金利が高止まりの長期化により、
当初見込んでいた「追加的リターン(為替差損による節税効果)」が発生する前に購入した債券の一部が償還される可能性が高まってきた。

 

一方、金利高止まりが長期化しても、いずれ利下げになるはずなので、
次回以降のFOMCの結果と利回りを見ながら短期のドル建て債券を追加購入し、
再度「追加的リターン(為替差損による節税効果)」を狙っていきたいと思う。
(償還により戻ってきたドルについても再投資予定)

 

以下は、今回のFOMC(2023年6月14日)をうけ、
FRBが発表した米国経済および金利見通し。

https://www.federalreserve.gov/newsevents/pressreleases/monetary20230614b.htm



 

【見通しおよびパウエル議長の会見から読み取れること】

  • 2023年3月予想から、実質GDPとPCEコアが上方修正され、失業率が引き下げられた。

    → FRBは、強い雇用および経済をベースにしたインフレの粘着性を警戒。

  • 23年末の政策金利FF金利)が0.5%上方修正され、5.6%に。

    → PCEコア(インフレ)を0.3%上方修正したので、
          「テイラー原理」に従って0.3%以上である0.5%引き上げたものと思料。

    ※テイラー原理:中央銀行が誘導する政策金利の適正値はインフレ率以上必要。1%のインフレーションの増大には、1%以上の名目金利が上昇するように中央銀行政策金利を動かすべきだとする原理。

 

  • パウエル議長の会見での発言:
    ①6月の利上げ見送りを「スキップ」と呼ぶべきではない(今後「利上げなし」の可能性も示唆?)。

    ②本日の決定は、この会合についてのみ行われたもの。次回の会合で何が起こるかを含めて今後は何も決定していない。

    ③利下げは2年ほど先になる可能性がある

 

  • 政策金利見通し(ドットチャート):
    ①今年年末の政策金利中央値は5.63%(前回3月時点から0.5ポイント引き上げ)

    ②利上げの回数としては残り2回という数字を示唆。

    FOMC参加者の過半数(18人中の12人)が5.63%の中央値ないしこれより上の水準を予想。

 

【ご参考:①ドット・チャート、②米国債利回り比較】

①ドットチャート

 

米国債利回り比較

 

【雑感】 価格転嫁と賃金 (日本経済新聞記事)

  • 一部の企業でベースアップおよびインフレ手当等の賃上げを決めている。
  • 一方、日本では物価上昇分の価格転嫁が十分にできていない(特に下請け企業)。
  • 長期的な視点に立ち、適正な価格転嫁による経営環境の改善と賃上げによる経済(家計・企業収益)の好循環ができることを望む。

 

春闘に先立ち、賃上げニュースを目にする機会が増えてきた。

賃上げ機運が高まり、三井住友銀行(新卒初任給を5万円引き上げ)やファーストリテーリング(年収最大40%アップ)をはじめ大企業の賃上げが目立つ。

 

一方、原材料やエネルギー価格の上昇で経営が厳しく、

賃上げどころではない中小企業も多いという。

 

物価上昇によるコスト増を転嫁できる企業とできない企業で差ができているようだ。

 

2月8日の日経新聞記事(以下、参照)でも企業の価格転嫁の遅れと中小企業の苦境が指摘されていた。

 

「米欧はコスト増の大半を販売価格に反映しているのに、

 日本は5割しか転嫁できていない。」、

「資源高のしわ寄せは立場の弱い中小企業に集まりやすい。」

とのことだ。

 

日米を比較すると、価格転嫁のスピードの差がよくわかる。

米国は、生産者物価指数と消費者物価指数の開きがほぼなくなっているのに対し、

日本の場合、物価指数間の開きはむしろ拡大している。

 

※参考: https://www.bls.gov/news.release/ppi.nr0.htm (PPI
               https://www.bls.gov/news.release/cpi.nr0.htm    (CPI)

 

※参考:https://www.boj.or.jp/statistics/pi/cgpi_release/cgpi2212.pdf (企業物価指数)
              https://www.stat.go.jp/data/cpi/sokuhou/tsuki/pdf/zenkoku.pdf (消費者物価指数) 

 

日本は長期デフレのもと、消費者は価格据え置きを当然とし、

売上減を懸念し、企業が価格をなかなか上げられない。

 

更に、最終消費者に近い小売店や大手メーカーが価格を据え置く場合、

その下請け企業にしわ寄せが行きがちだ。

 

最初に働いた会社(メーカー)では、コスト削減を標榜し、

トヨタかんばん方式(※)を取り入れ、

極力無駄な在庫(原材料)を持たないようにしていた。

 

その実、下請けに在庫を持たせ、「必要な時」に、必要な量だけ納品させる。

 

在庫を持つコストを下請けに負担させていた。

かんばん方式:ジャストインタイム(「必要な物を、必要な時に、必要な量だけ」供給することで効率的な生産活動を目指すシステム)を実現するための仕組み

 

立場の弱い中小企業に価格転嫁できないコストを負担させては、

社会全体の賃金上昇は起こりえない。

 

賃金が上がれば(上がり続ける見通しがあれば)、消費活動は拡大する。

長期的に見れば、物価が上がっても、賃金が上がれば家計への影響もプラスになる。

 

適正な価格転嫁が進み、下請け企業も正当に儲けられる環境になってほしい。

 

 

【参考:日本経済新聞

価格転嫁、日本5割どまり 原料高など中小にしわ寄せ 賃上げ好循環の壁に 政府、後ろ向き企業公表

2023/02/08  日本経済新聞 朝刊  3ページ  1694文字

 

企業の賃上げ原資の確保に欠かせない価格転嫁が遅れている。米欧はコスト増の大半を販売価格に反映しているのに、日本は5割しか転嫁できていない。資源高のしわ寄せは立場の弱い中小企業に集まりやすい。構造的な賃上げによる経済の好循環の実現に向け、経済産業省は7日、価格交渉や転嫁に後ろ向きな企業名の公表に踏み切った。デフレで染み付いた商習慣を転換できるかが試される。

 人件費や原材料費の上昇がどれだけ消費者物価へ転嫁されたかを三菱総合研究所の森重彰浩主任研究員が国・地域別で調べたところ、日本は2022年10~12月期は48%だった。22年秋までは3割程度で推移し、その後、食品値上げなどで上昇した。

 10~12月期の米国の転嫁率は134%に達し、ユーロ圏も87%だった。森重氏は「米国は過去の未転嫁分まで転嫁している可能性がある」と指摘する。

 日本の価格転嫁の遅れのしわ寄せは中小企業に集中する。昨年12月の日銀短観によると、仕入れ価格が「上昇」と答えた企業の割合から「下落」の割合を引いた仕入れ価格判断指数(DI)は大企業のプラス60に対し中小企業は67だった。原材料コストの上昇を中小がより強く感じている。

 一方、販売価格のDIは大企業は35、中小企業は31だった。仕入れ値は上がっていても、中小ほど売値の引き上げは難しいと考えている。

 連合の調査によると22年春闘の賃上げ率は全体で2.07%だった。中小企業は1.96%にとどまる。交渉力の弱い中小企業は大企業から厳しいコスト要求を突きつけられやすい。特に資源価格の上昇局面では経営を圧迫し、人件費カットにつながる場合もある。

 ファーストリテイリングやイオンなど大企業を中心に賃上げの表明が相次ぐ。従業員総数の68.8%を占める中小企業に賃上げの動きが波及しなければ、構造的な賃上げとはいいがたい。

 1月の施政方針演説で岸田文雄首相は生産性向上とともに「下請け取引の適正化、価格転嫁の促進」の取り組みを強化すると表明した。賃上げの原資を確保できる環境づくりが必要との問題意識が背景にある。

 経産省は7日、下請け振興法に基づき、価格転嫁・交渉に後ろ向きな企業の実名を初公表した。22年9~11月、15万の中小企業を対象に実施したアンケート調査で10社以上から取引先として名前が挙がった約150社が対象だ。

 価格交渉で話し合いに応じた場合を10点、協議に応じなかったらマイナス7点、協議の余地なく一方的に取引価格を下げた場合はマイナス10点などと点数化した。価格転嫁はコスト上昇分を完全に転嫁できたら10点、9割なら9点といった基準で調べた。最高の「ア」から最低の「エ」の4段階で評価した。

 価格交渉では不二越が、価格転嫁では日本郵便が最低評価となった。不二越は「結果を真摯に受け止めている。今後、取引先とのコミュニケーションを一層強化したい」とコメントした。日本郵便を傘下に持つ日本郵政増田寛也社長は7日の定例記者会見で取引実態を調査するよう指示したと明らかにした。

 価格交渉と転嫁のいずれも下から2番目の評価だった企業も佐川急便や関西電力三井住友建設など16社あった。

 佐川急便は22年12月に公正取引委員会からも価格転嫁の協議をしなかったとして社名公表されている。同社は経産省の公表について「真摯に受け止めている。コスト上昇分の取引価格への反映について意見交換を始めている」とコメントした。4月からは宅配便の値上げに踏み切る。

 日本は物価も賃金も上がらない構造的なデフレが続いた。安くて質の高いモノやサービスを消費者が享受できた半面、中小企業が人件費を切り詰めるなどしてコスト増を吸収し、取引先に価格転嫁を求めにくい商慣習が根付いた。

 適正な価格転嫁による物価上昇は中長期的にみれば家計にはむしろ恩恵が大きい。企業が賃上げの原資を確保できれば、働く人の稼ぎが増え、活発になった消費が企業の収益を押し上げる好循環ができる。デフレ経済を脱却し、物価と賃金がともに上がる「普通の経済」に転換できるかどうかの瀬戸際にある。

 

 

 

 

 

【資産運用】予実分析(2023年度/2022年度)

【2023年度】(有価証券運用利回)

 

予算(括弧内は昨年度): 2.94% (2.82%)

昨年度実績: 6.38% (達成率: +126.55%)

※昨年度の実績詳細に関しては、以下「【昨年度(2022年)】実績分析 (有価証券運用利回)」参照

 

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目標:

  • 投資目標(①配当・分配金からのキャッシュ・フロー確保および②保有資産の時価総額の最大化)を達成すべく、状況に合わせポートフォリオを組み替える。
  • 2023年は昨年以上に厳しい(難しい)年になると考えている。資産価格の変動に一喜一憂せず、投資原則に従った運用を心掛ける。
  • 現在の米金利高およびその将来的な利下げを見越した、イールド・ハンティング(利回り追求)を本年度における投資の主軸にする。また、株式に関しては、基本、悲観シナリオをベースに運用する。
  • 世界全体が悲観に陥った際に「攻めの投資」ができるよう、キャッシュを常に厚めに持つよう心掛ける。
  • 一方で、長期的に見て買い場である可能性もあるため、投資目的に合っているものは、ビジネスモデルとその見通しをよく吟味して積極的に投資するようにする。(長期保有前提の投資については、短・中期的に含み損が出ることを覚悟して投資)

 

 

  • 現金比率:

引き続き市場悪化に備え、現金を積み増す。米国債および高格付けの短期社債(3年未満)は現金と同等の扱いにし、MMF(現金)+米国債/社債で20%~25%維持することを目指す(期初:19.1%(現金)、2.3%(米国債)+1.1%(社債))。

 

  • 債券:

米国債および高格付けの短期社債(残存期間3年未満)で4%以上の利回りが取れる際に購入を検討。また、イールド・ハンティングのため、①米ドル建て投資適格社債ETF、②キャピタルゲインを狙いで年限長めの米国債ETF、③ハイリスク・ハイリターンであるハイイールド債券のETFを米国利下げ決定前まで購入予定。以下はETFの候補リスト。

 

 

  • 株式:

日本株) ①株価下落時に高配当ディフェンシブ銘柄を中心に投資。ただし、投資資金を追加投入することなく、各証券会社口座内の資金(配当金含む)の範囲に限る。②特定銘柄(三菱商事、メドピア、リクルートイビデンM&Aキャピタル)については、株価と業績を見ながら短期売買での譲渡益獲得を目指す。③メイン証券(2社)の営業との関係を強化し(お付き合いでの投信購入含む)、IPO割当率を上げてもらう(昨年実績:応募16件中割当は、4件。当該2社が主幹事であったのは7銘柄(9銘柄が引受幹事))。

 

(米国株) ①追加資金を投入することなく、既に保有するドルおよび配当金・売却金のみでの投資に限定。②投資対象銘柄は、新規は、高配当ディフェンシブ銘柄のみ。既存投資銘柄は、本当に割安で業績に問題ないと思ったもののみ購入を検討。③米国利下げ開始時にS&P(インデックス)購入検討(状況によってはNASDAQも)。

 

年前半はこれまで通りグローバルREITを積立購入(平均月30万円)。その後は、米国金利と景況感により柔軟に追加投資を検討。仮にREIT市場がもう一段崩れたとしても、長期的な買い場であると考えるため、追加購入はあっても売却はしない。日本のREITは、個別銘柄については、価格変動、運用利回り、(セクターごとの)業績に応じて、既に保有しているREIT間でスイッチするのみにする。

 

インド株式指数に連動するETF(1678: JP)を、毎月買増していく。ただし、1年を通じ、受領配当金の範囲内での投資に抑える。

 

  • FX:

昨年の失敗を糧に、今後はKPIに含めず、自分のルールに忠実に従い取引をする(徐々にポジションを減らし、投資規模も大幅に縮小させる)。日々のマーケットの動きに惑わされることのないよう、月次の実現利益の計算に含めることをやめる(総資産の算出時には含む)。

 

 

【昨年度(2022年)】実績分析 (有価証券運用利回)

 

予算: 2.82% 

実績: 6.38% (+126.55%)

 

期初目標(2022年)と結果:

 ①現金比率を17.6%から25.0%まで引き上げる。

  (米国金利次第(長期金利2.0%以上)で購入予定の米国債含む)

  ⇒(結果:△) 期末の現金(MMFおよび米国債含む)比率は21.4%。米国債は、想定より高い運用利回りで購入(約3%)。現金が増えなかった主因は、インフレ長期化を見誤り、早すぎるタイミングで株式等を購入してしまったため。 

 

 ②日本へのエクスポージャー(主に株式)を30%まで引き下げる。

⇒(結果:×) 期初より0.9%増え、41.5%まで増加。

  相対的に日本株のパフォーマンスが良かったのと、売却額以上に(割安と思い)買増してしまったため。

 

 ③コモディティ(金)を5%まで引き上げる。

  ⇒(結果:×) 0.6%(前年同期比△1.0%)。2月のロシアによるウクライナ侵攻直前の暴騰時に、(侵攻は起こらないと考えていたため)金を売却し利確。その後、米国利上げに伴い、ドルベースでの金価格が下落した際に、少額買増したが、期初予定の通り増やすことはできなかった。

 

 ④REITを15%まで引き上げる。

  ※下落時に買い増し

   ⇒(結果:△) 期初より2.4%増えたものの、10.8%で着地。2022年は、海外RIETを買い増した。一方、①米国利上げの影響によるREIT価額の下落が想定以上だった、また、②日本のREITを減らしたため(リスクとリターンについて再検討した結果)、15%まで引き上げることができなかった。なお、長期的には今が買い場だと思っているので、しばらくは海外REITを中心に買増していく予定。 

 

 ⑤金利上昇局面であるものの、定期的にメタバース関連株を長期保有目的で購入

   ⇒(結果:△) 2022年1月~3月において、エヌビディアおよびマイクロソフトを毎月定額(少額)購入した。また、6月下落時にはマイクロソフトを少しまとまった金額分購入。ただ、両者ともに、完全にタイミングを間違えた。特に6月のマイクロソフト($272/1株)の購入は早すぎた(2023.1.1現在:228.85)。ただし、長期保有して問題のない銘柄と考えている。マイクロソフトに関しては、業績と株価を見ながら追加購入を検討する。エヌビディアに関しては、回復までより長い期間がかかると考えるが、売却予定はない。

【資産運用】2022年実績分析

ポートフォリオ時価総額年初来推移】

・①比較的保守的なポートフォリオを組んでいるため、②バリュー株(日本株)のパフォーマンスが良かったため、他のインデックス(※)がマイナス領域に入る中、辛うじてプラス圏で着地できた(+3.9%)。

※インデックス(Index):市場の動きを示す指数。

・ただし、多くの外貨建ての資産価額(主に米ドル)が下落しており、円ベースで損失が少なかっただけとも言える。したがって、2023年以降ドル円円高方向に進んだ場合、保有資産の時価総額が減少する可能性がある。

・2023年は、米国の利上げ終了(円高要因)および世界経済の悪化に備え、①為替を加味した保有資産の入れ替えを行うとともに、②現金を積み増し、割安な銘柄を拾えるようにする。

 

【配当および不労所得の推移】

・実現利益の前年同期比ベースでは、おおむねプラスで推移した。

・①グローバルREIT(毎月分配型)の買増し、②配当金および譲渡益の高配当銘柄への再投資により、受領配当金額が増加。当初の目標で割った、配当(分配金含む)のみで「毎月税引き後20万円以上」の達成が見えてきた(月平均27.5万円を達成)。

IPOおよび短期売買を目的とした日本株取引による実現利益が拡大した。

・自分ルールを破ったことによるFXでの損失(期末調整)がなければ、税引き後総不労所得(不動産所得含む)が1,000万円超えていた。

 

【地域別】

※()内は、前年同期比

日本: 41.5% (+0.9%)

米国: 46.7% (△1.7%)

オーストラリア: 6.6% (+0.8%)

中国: 1.3% (+0.00%)

インド: 0.4% (+0.4%)

その他: 3.5% (△0.3%)

  

【変動要因】

日本および米国:

大幅下落した米国株と比べ、日本株のパフォーマンスが相対的に悪くなかったため、日本へのエクスポージャーが上昇し、米国向けは減少した。

オーストラリア:

増加の主な要因は、豪発行体による米ドル建て債券の新規購入によるもの(既存の豪株式、優先出資証券は利上げの影響により価額が下落)。

インド:

期初の目標に従い、ETFを通じてインドへ新規投資(予定より購入金額は少なかった)。

その他:

減少の主な要因は、5月末に運用していた個人年金(海外株式インデックス)を円建ての定期預金にスイッチしたため。

 

【商品別】

※()内は、前年同期比

株式: 48.2% (+0.7%)

REIT: 10.8% (+2.4%)

債券: 1.1% (+1.1%)  

コモディティ: 0.6% (△1.0%)

ETF: 2.0% (△0.7%)

投資信託: 16.0% (+9.4%)

国債(米国): 2.3% (+2.3%)

現金: 19.1% (△14.2%)

 

 【変動要因】

 REIT

期初の目標通り、REITの積み増し。米国金利上昇および世界経済悪化懸念により引き続きREIT価格の停滞が見込まれるが、長期的な観点で買い場と考え、しばらくは継続的に買増していく予定。

債券・国債

金利が上昇し、債券投資への妙味がでたため、投資を再開。豪州発行体のものもあるが、全てドル建て(保有していたドルによる購入のため、円安の影響は受けていない)。2023年前半も、金利動向を見ながら追加投資予定。

コモディティ

リスク回避の観点で金の保有率を高める予定だったが、2月のロシアによるウクライナ侵攻直前の暴騰時に、(侵攻は起こらないと考えていたため)金を売却し利確。その後、価格水準が切り下がった際に買増すも、米国金利上昇およびドル高のため予定より少なく終わった。2023年は、為替(ドル円)および金価格の推移を見ながら追加投資の検討予定。

ETF:減少の主な要因は、RIET指数連動ETFの属性をPB管理上「ETF」から「REIT」に変更したため。全体としては、ETF(インド株)へのエクスポージャーが増えている。

投資信託

減少の主な要因は、5月末に運用していた個人年金(海外株式インデックス)を円建ての定期預金にスイッチしたため。当該スイッチは、ドル高および米金利上昇に伴う、世界経済の見通しの悪化による株価変動リスクを回避するため。2023年は、米ドルの下落および米経済の上昇局面(次回の金融緩和期を想定)に再度海外株式インデックスおよび海外REITにスイッチしていく予定。

 現金:

米株および日本株の下落時に、そろそろ底に近いと見誤り、株式等を購入した結果、現金(MMF)比率が低下。2023年前半は、より慎重に今度こそ現金を積み増したいと考えている。

 

【年間取引額】

円建て株式: (購入)   20,794,177円  / (売却)  30,516,951円 

円建て投資信託(購入):  4,179,008円 

ドル建て資産: (購入)  US$ 55,107.05  / (売却)  US$ 2,957.96   

【課題】

米ドルベースでの有価証券価額の下落分が、米ドル高により相殺されている点留意。米利上げ終了後のドル高是正局面に向け、ドルを円転するか慎重に検討する必要がある。(ただし、現状円転には消極的。キャッシュ(ドル)確保を目的としたドル建債券への投資を基本とし、米国株式への新規投資は、受領配当・分配金の範囲に抑える予定)